2007 Fiscal Year Annual Research Report
元素相乗効果に基づくポリラジカルのスピン整列とその機能化
Project/Area Number |
19027033
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安倍 学 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (30273577)
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Keywords | オキセタン / カルボニル化合物 / 光反応 / 分子変換反応 |
Research Abstract |
ポリラジカルの化学が機能性材料の観点から多大なる興味が持たれるようになって、約30年が経過した(「スピン化学」坂口喜生著・裳華房、「分子磁性」伊藤公一編・学会出版センター、等を参照)。しかしながら、その分子素材を用いた材料の実用化には未だ至っていない。問題点として、ポリラジカルのスピン整列法が乏しいことが挙げられる。従って、ポリラジカルの新しいスピン整列法の開発は、新たな機能性材料の創製に貢献する極めて重要な基礎研究課題である。研究代表者はこれまでに、1,3-ビラジカルのスピン多重度を2,4,5位の元素で制御できる事を明らかにし、基底一重項ビラジカルの発生に成功してきた。この研究成果をもとに、本研究では、ヘテロ元素の相乗効果を利用して、ポリラジカルのスピン多重度制御に基づく新しいスピン整列法の開発を行う。さらには、テトララジカルのスピン整列をヘテロ元素で制御する事を実施し、その分子内環化反応にもとづくスピンスイッチング反応を実現し、将来の機能性材料の開発に貢献する礎を築く。平成19年度はこの研究目的を基に以下の研究成果をあげた。 ビラジカルの最安定ネピン多重度に関する理論的予測:σ結合生成物よりも安定な新しい結合様式「π結合による一重結合」を有する一重項ビラジカルを創製するために、三重項とのエネルギー差が最も大きくなるヘテロ元素の選定を行ことに成功した。 一重項ビラジカルの実験的発生:ヘテロ元素が炭素の場合には、アゾ化合物を申請者が独自に見出してきたピラゾール類から合成し、その脱窒素反応を行い一重項ビラジカルの発生を試みた。ア現在のところ単離可能なビラジカルの発生には至っていないが、新しい反応性として分子聞反応を見出した。
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Research Products
(5 results)