2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属ポルフィノイド-14族元素間の結合形成と反応性を支配する配位子効果の評価
Project/Area Number |
19027034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 高史 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (20222226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 貴史 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (50432521)
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Keywords | ポリフィノイド / 金属錯体 / 14族元素 / 遷移金属 |
Research Abstract |
平成19年度は、ポルフィリンの構造異性体であるポルフィセンについて4そのコバルト錯体と種々のヒドリド試薬との反応を行った。その結果、Co(II)種とトリブチルスズヒドリド(Bu_3SnH)との反応は非常に遅いが、Co(III)種との反応は低温でスムーズに進行し、紫外可視吸収スペクトルにおいて吸収バンドのレッドシフトが観測された。10-メチルアクリジニウムの添加により吸収スペクトルの回復が見られたことから、Bu_3SnHとの反応によりポルフィリγでは観測不可能なヒドリド錯体が生成したものと考えられる。しかし、NMR測定の高濃度条件では、不溶性のCo(II)種が大量に生成し水素ガスの発生も確認された。そこで、よりヒドリド性の高いスーパーヒドリド試薬(LiHBEt_3)との反応を試みたところ、^1HNMRにおいて、Co-Et結合の生成を確認した。これは、いったん生成したヒドリド錯体に対して、トリエチルボランが生成し、β脱離が起こったものと推察される。本反応は、コバルト上でのβ脱離の反応例として珍しく興味深い。一方、トリフルオロメチル基を有するポルフィセンを合成し、ヒドリド試薬との反応におけるLUMOエネルギーレベルの効果を検討した。紫外可視吸収スペクトル、分光電気化学測定により、Bu_3SnHとの反応では、水素移動ではなく一電子移動により、ポルフィセンπラジカルアニオン種の生成が確認された。 また、配位子による中心金属の反応性の劇的な効果を観測するために、20πポルフィセン配位子の合成を行い、NMRおよびX線結晶構造解析により同定した。20πポリフィリノイドは一般に単離が困難であり、本研究結果は、ポルフィリン化学においてユニークなものであると位置づけられる。
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