2007 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属相乗型硫黄架橋クラスターの開発と高次集積化
Project/Area Number |
19027035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今野 巧 Osaka University, 理学研究科, 教授 (50201497)
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Keywords | チオラト錯体 / 硫黄架橋クラスター / キラリティー / チオール配位子 / チオール配位子 / コバルト / 金 / パラジウム |
Research Abstract |
本研究では、含硫アミノカルボン酸類を用いたキラルなチオラト錯体の合成、ならびにこの種の錯体と各種遷移金属イオンとの反応による金属相乗型硫黄架橋クラスターの開発と集積化について検討した。 含硫アミノカルボン酸であるD-ペニシラミン(D-H_2pen)が配位した金(I)酸錯体([AU(D-pen-S)_2]^3-)は、配位チオラト基に加えて、フリーのアミノ基およびカルボキシル基を有する。この単核錯体にコバルト(II)イオンを空気中で反応させると、配位様式の異なった2種の硫黄架橋Co^IIIAu^I多核錯体が形成された。このうち、D-penがN,0,Sの三座でCo_IIIに配位子した硫黄架橋CoIII _3Au^I_3六核錯体は、結晶中において水素結合により層状に配列し、2次元シート構造を形成することを見出した。さらに、この化合物の層と層の間には、ハニカム型の特異な水分子クラスターが形成されることも分かった。 一方、この金(I)酸錯体にパラジウム(II)イオンを反応させると、Pd^II_2Au^I_2四核錯体のみが形成された。この四核錯体は、パラジウム(II)ユニットのシス-トランス異性の違いにより、二種の異性体を形成することを見出した。このような異性体の形成は、硫黄架橋多核錯体の系においてははじめての例である。さらに、このPd^II_2Au^I_2四核錯体の異性体混合物に銅(II)イオンや亜鉛(II)イオンを反応させると、トランス異性体のみがこれらの金属イオンと結合して、三種混合金属型の特異なクラスター構造を形成することも見出した。これにより、この四核錯体が4つのカルボキシル基を用いて金属イオンに配位可能な多核の錯体配位子として機能することを明らかにした。
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Research Products
(4 results)