2007 Fiscal Year Annual Research Report
ニトロゲナーゼ機能モデルをめざしたメタロチオネイン多金属錯体の合成と触媒活性評価
Project/Area Number |
19028045
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 高史 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (20222226)
|
Keywords | ポリペプチド / 金属クラスター / メタロチオネイン / 生体材料 / 酸素 |
Research Abstract |
一般に金属酵素では、金属イオンがタンパク質あるいは補欠分子と配位結合を形成することにより、様々な触媒機能を発現している。しかし、金属タンパク質を自由自在に操って、新しい生体材料(触媒)を開発する研究はまだ非常に少ない。本申請研究では、タンパク質マトリクス中に斬新かつ適切な配位場を提供することにより、最終的には新しい触媒機能を有する人工酵素創成を目標とする研究を試みる。特に今回は、生体内でCd,Hg,Zn等の重金属の捕捉・無毒化を行うメタロチオネインと呼ばれる比較的小さなタンパク質に着目し、メタロチオネインの1/3を占めるシステイン残基を利用して、タンパク質マトリクス内に鉄硫黄クラスターあるいは鉄・モリブデン硫黄クラスタニを構築することを試みた。具体的には、メタロチオネインは2つの独立したドメインから成り立つタンパク質であるので、今年度は、そのうちシステイン11個を含みCd,Znなどの金属イオン4つを包接するαドメイン(31残基)をペプチド固相合成法で合成した。得られたアポ体に鉄イオン、コバルトイオンまたは鉄及びモリブデンイオンを加え、脱気下で非天然メタロチオネイン金属錯体の調製を試みた。この新規メタロチオネイン金属錯体の構造は、UV-vis,ICP-MSで同定し、ある程度予想通りの構造を形成していることが明らかとなった。しかしながら、窒素ガスの固定化、,ヒドラジンのアンモニアへの還元などに対する活性は、ほとんど示さず、今後、活性金属錯体を形成するタンパク質マトリクス分子構造のさらなる検討が必要である。
|
Research Products
(14 results)