2007 Fiscal Year Annual Research Report
多重解像度解析多重ウェーブレット基底による量子化学プログラム開発
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19029019
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
関野 秀男 Toyohashi University of Technology, 大学院・工学研究科, 教授 (40335104)
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Keywords | 多重解像度解析 / ウェーブレット基底関数 / 応答関数 / 運動方程式 |
Research Abstract |
多重解像度多重ウェーブレット(MRMW)基底による量子化学プログラム開発を行った。現在まで量子化学プログラムはほとんどガウシアン基底関数を用いているが、ナノ物質やバイオ分子など系が巨大化した場合、その算定する物性値の精度に対する保障がない。MRMW基底によれば算定する物性値の精度をシステマティックに選べる。本研究では、算定する物性量を表現する演算子を厳密に定義し、その運動方程式を直接解くという方法をとる。ガウシアン基底のようにはじめから化学的直感に基づいて作られた規定関数と異なり、空間解像度解析の数学的帰結により作られているMRMW規定関数は任意の精度で任意の形状、大きさのシステムを取り扱える。本年度の研究では、MRMWをもちいて分極率の算定を行った。物性量算定には全エネルギーを介さず、応答理論を直接解くことにより求める方法を採用した。1次の応答物性に対応する摂動密度演算子に関する、運動方程式を周波数領域で表現し、その精度はMRMWの数学的構造により任意に高くすることができる。それにより、事実上完全空間での物性算定を行うことが可能となった。ゼロ周波数極限での分極率計算を行い従来のガウシアン基底関数によるものと比較した。ガウシアンでの計算の場合、diffuse関数を含む大きな基底関数が必要となり、精度、効率の両面でMRMW法の優位性が確認された。更に共鳴条件に近い周波数領域での動的分極率の算定結果では、ガウシアン基底によるものと異なり、安定な挙動が観察された。本プログラムシステムはプロトタイプのものであるが、現在超並列プロセッサーでの本格的応用に耐えるプログラムへと開発を進めている。
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Research Products
(7 results)