2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19029020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今堀 博 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (90243261)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 化学修飾 / ビンゲル反応 / 可溶化 / マイクロ波 / 束状構造 / 修飾率 / 電子構造 |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブは、特異的な幾何・電子構造のみならず、機械的強度や熱伝導性等において従来の物質には無い優れた特性を有しており、幅広い用途への応用が期待されている。しかしながら、単層カーボンナノチューブは分子間相互作用が極めて強く、束状構造を取るために、水および有機溶媒への溶解性が極めて低い。そのため、応用研究を発展させるためには、このバンドル化を抑制して溶解性を向上させることが重要となる。これまでに、可溶性官能基を共有結合により連結することで、単層カーボンナノチューブの溶解性の向上を達成した例も数多く報告されている。しかしながら、一般に、共有結合による化学修飾は単層カーボンナノチューブのπ電子系を壊し、その電子構造を大きく変化させてしまう。したがって、溶解性の付与と電子構造の保持を両立する単層カーボンナノチューブの化学修飾法の開発が強く望まれている。本研究では、単層カーボンナノチューブの電子構造に側壁化学修飾が与える影響を系統的に考察するため、マイクロ波照射下でのビンゲル反応による側壁化学修飾を行ったところ、マイクロ波強度により修飾率を制御できることを見出した。また、本手法で得られた側壁化学修飾単層カーボンナノチューブは、通常の場合と異なり、高修飾率においてもその電子構造が保持されていることがわかった。これは、ビンゲル反応が単層カーボンナノチューブの溶解性の向上と電子構造の保持を同時に達成することを示しており、今後、ビンゲル反応による単層カーボンナノチューブのさらなる高機能化や、その電子デバイスなどへの応用が期待できる。また、実験結果と理論的考察とを対比したところ、ゼンゲル反応は、生成する三員環の面とナノチューブ長軸が直交するように付加が起こっていると推察された。
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Research Products
(6 results)