2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸素センサー付フロートによる表層溶存酸素の短期変動とその季節変動への寄与の解明
Project/Area Number |
19030004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
須賀 利雄 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (70211977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木津 昭一 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40241517)
花輪 公雄 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40142921)
小林 大洋 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 研究員 (10360752)
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Keywords | プロファイリングフロート / 酸素センサー / 溶存酸素 / 季節密度躍層 / 混合層 / 過飽和 / 酸素消費 / 一次生産 |
Research Abstract |
東北大学と海洋研究開発機構が、2006年度までに北太平洋に展開してきた9台の酸素センサー付プロファイリングフロートのデータを解析し、北太平洋中緯度域表層における溶存酸素の季節変化を調べた。解析に先立って、既存の船舶観測資料との統計的比較により、フロートによる酸素データの精度を検討し、その誤差は季節変化のシグナルに比べて十分小さいことを示した。各フロートの漂流海域の海洋構造や流速分布を考慮し、フロートによる水温・塩分・溶存酸素プロファイルの時系列のうち、主に鉛直1次元過程に支配されている部分に着目して、水温場・密度場の変化と溶存酸素の変化との関係、および、それらの関係の深度依存性について考察した。従来、表層100mを鉛直平均した溶存酸素と水温の気候値データから、中緯度表層の溶存酸素の季節変化は水温変化に伴う飽和酸素量の変化に主に支配されていると報告されていたが、本研究の解析から、夏季の昇温期には、季節密度躍層以浅では過飽和度が、その下層で不飽和度が、それぞれ時間とともに増すことが明らかとなった。表層100m平均で溶存酸素の変化が飽和酸素量の変化で見かけ上説明できたのは、季節密度躍層以浅の過飽和とその下層の不飽和が相殺された結果であることがわかった。季節密度躍層内の過飽和は一次生産によるものであり、その下層の不飽和は有機物の分解や呼吸によるものと推定された。さらに、晩秋の混合層の発達により季節密度躍層が破壊されるのに伴い、過飽和が解消され、晩冬期までに表層100mの溶存酸素はほぼ一様で、やや不飽和となることなどがわかった。3日間隔でプロファイリングを行って短期変動を調べるための、新たな酸素センサー付プロファイリングフロートの仕様を検討した上で、購入し、陸上試験を終えて、平成20年度の観測の準備を完了した。
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Research Products
(5 results)