2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19030006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浜崎 恒二 The University of Tokyo, 海洋研究所, 准教授 (80277871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 直彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, グループリーダー (00281832)
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Keywords | 光合成細菌 / 光従属栄養 / 海洋生態系 |
Research Abstract |
本研究では、本邦周辺海域及び南北太平洋における好気性光合成細菌の分布、多様性、現存量を明らかにすると共に、炭酸固定への寄与、光による増殖促進の程度を明らかにすることを目的とした。本年度は、好気性光合成細菌の多様性と現存量について、時空間的な変動を明らかにするための研究を行った。空間的な変動解析を行うために、サロマ湖、相模湾、太平洋赤道域、南太平洋、南大洋から採取した試料からのDNA抽出を行い、細菌の光合成関連遺伝子(pufM)を標的とする定量PCR法によって現存量の推定を行った。サロマ湖と相模湾の試料についは、免疫学的に分取したBrdU標識DNAの定量PCR解析を行い、活発に増殖する好気性光合成細菌の現存量を推定した。特に、サロマ湖海氷試料のデータは、既往報告のない海氷中での増殖と分布を示しており、極域での広範囲な分布を示唆する非常に面白い成果である。また、岩手県大槌湾における時系列観測やメソコズム実験における動態解析の結果より、植物プランクトンのブルーム形成時期の増加と好気性光合成細菌の増加に正の相関関係が見出され、両者の増殖が密接に関係していることがわかった。ブルーム形成時における光合成細菌の増殖のタイミングは、従属栄養細菌全体の増殖よりも早いことから、この細菌グループ特有の増殖機構の存在が示唆された。本研究では、定量PCR法とBrdU標識法を組み合わせた新しい細菌機能群の解析手法を使用し、その有効性と将来性を示すことができた!また、本邦沿岸域における好気性光合成細菌の分布とその動態を左右する環境要因に関する基礎的な知見を初めて得ることができた。
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Research Products
(3 results)