2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19031005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 康博 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任助教 (30401235)
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Keywords | ポリロタキサン / 櫛型高分子 / ブロック共重合体 / 非平衡構造 |
Research Abstract |
ポリロタキサン(PR)の環状分子に側鎖をグラフトさせた可動性櫛型高分子(SGC)は、側鎖のスライディング、回転により立体配置が可変なブロック共重合体と考えることができ、この2つの新しい自由度のため外場に対してより劇的かつ高速に応答すると予想される。このことから、SGCは従来にない全く新しいタイプのブロック共重合体であると位置づけられる。本研究では、SGCの構造や物性を理論・実験の両面から様々な手法を駆使して詳しく調べ、ミセル形成やミクロ相分離などの凝集挙動に側鎖の可動性が与える影響を明らかにすることで、SGCの非平衡ダイナミクスについての系統的な知見を得ることを目的とする。 本年度はまず、比較的単純な側鎖を有するSGCの合成を行った。側鎖としては、水中でミセル化などの凝集挙動を示すと期待されるポリエチレングリコールのアルキルエーテルを用いた。また、環状分子1個あたりの側鎖の本数を変えたものを2通り合成した。次に、SGC水溶液の光透過率の温度依存性を分光光度計を用いて評価した。側鎖数の多いSGCの1 wt%水溶液は、昇温過程において45℃付近で白濁し、透過率が急激に低下した。また、0.1 wt%溶液では45-60℃にわたって透過率の緩やかな低下が観察された。この白濁化は凝集体形成によるものであり、示差走査型熱量計による熱分析においても凝集体形成を裏付ける吸熱・発熱ピーク観測された。一方、側鎖数の少ないSGCではこのような転移挙動は見られなかった。これらの凝集挙動は、高温にすることで側鎖が脱水和を起こすことに起因すると考えられ、HD水溶液は親水性の主鎖を疎水相に巻き込んだ凝集体を形成し、LD水溶液は一部に凝集体が形成されるが、分子分散も同時に存在するものと考えられる。今後、これを説明するための理論として、水和の効果を取り入れたモデルについて検討する必要がある。
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[Presentation]2007
Author(s)
久米 哲也
Organizer
第56回高分子学会年次大会
Place of Presentation
京都
Year and Date
20070500