2008 Fiscal Year Annual Research Report
チューブ状ベシクルを用いた外場応答性を示すエラスティカへの可塑性の導入
Project/Area Number |
19031006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 正 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50124219)
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Keywords | エラスティカ / 磁場配向 / 弾性変形 / コラーゲン / チューブ状ベシクル |
Research Abstract |
前年度構築した磁場によるチューブ変形をリアルタイム観測するシステムを用い、二種類のリン脂質からなるチューブの変形ダイナミクスの磁場依存性に関する測定を行った。その結果、チューブの屈伸過程に明確なヒステリシスを見出した。チューブの変形に関する先行研究を参照し、この現象は、チューブの曲げにより生じた弾性エネルギーを緩和するように、2種のリン脂質が膜内で再配置することにより生ずるとの解釈を与えた。この結果は、試料に強磁性成分が全く含まれないにもかかわらず、磁場応答がヒステリシスを示しうることを意味している。近年、可塑的なダイナミクスは、自然現象、中でも生命現象を特徴付けるものとして興味がもたれており、単純なシステムでこの様な現象が実現されたことに意義がある。本成果は、分子磁性国際会議で発表を行ったほか、論文として公表した。また、オレイン酸からなる自発的巻き直しダイナミクスを示す螺旋状ベシクルチューブについても磁場の影響を検討し、磁場下でのまき直しダイナミクスに、地磁気下では見られない間欠性が現れることを確認したが、磁場との関連性を議論するには、さらに対照実験が不可欠である。その解明は今後の課題といえよう。 さらに、これらソフトマターのダイナミクスと関連して、水中で自己集合することで、顕著なクロミズムを示す両親媒性ラジカル分子の挙動解明、膜分子生成反応と共に時間発展するジャイアントベシクル増殖系のフローサイトメトリー法による集団解析の研究も併せて行い、それぞれ論文とし公表した。また、これまでの我々の研究成果について、ソフトマターの特定で確立しつつある非線形ダイナミクスの統一的見方に重点をおきまとめた総説を、日本物理学会誌にて上梓したところ大きな反響を得た。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Population Study of Sizes and Components of Self-Reproducing Giant Multilamellar Vesicles2008
Author(s)
Toyota, T., Takakura, K., Kageyama, Y., Kurihara, K., Maru, N., Ohnuma, K., Kaneko, K., Sugawara, T.
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Journal Title
Langmuir 24
Pages: 3037-3044
Peer Reviewed
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