2007 Fiscal Year Annual Research Report
光で時空間的に強制した高分子混合系の相分離ダイナミクスと新規材料の設計
Project/Area Number |
19031018
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 貴章 (Q TRANCONG) Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (50188827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
則末 智久 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (40324719)
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Keywords | 相互侵入高公子網目 / 相分離 / 光架橋・重合 / Ostwald Ripening / ヘキサゴナル相 / Mach - Zehnder 干渉計 / 弾性ひずみ / 光二量化反応の可逆性 |
Research Abstract |
本年度では、光を用いて高分子混合系の相分離を時空間的に制御した。光照射で誘起した高分子混合系の相分離を異なった二波長の光照射で可逆的に操ることができた。さらに、一定の周期で混合系を照射して、生成したモルフォロジーを観測・解析を行った。詳細は以下の通りである。 1)Polystyrene鎖上にラベルしたアントラセンの光二量化反応を365nmの紫外光の照射で誘起し、poly(vinyl methyl ether)とのブレンドを光架橋し、相分離を引き起こした。この過程において形成されたスピノーダル構造を光散乱で観測しその相分離動力学を明らかにした。相分離が進行すると共に相構造が成長せずに、逆に縮小されることが観測された。この異常な現象を解明するために、同様な実験条件下でブレンドを架橋しながら、Mach-Zehnder干渉計で光架橋ブレンドの極小の歪を計測した。光散乱で観測した周期構造が収縮していく特性時間と、Mach-Zehnder干渉計で計測した弾性歪の緩和時間との間に1:1の相関関係が見られた。これらの結果から光散乱で見られた異常な挙動は光架橋によって誘起した弾性ひずみに起因することが判明された。 2)PolystyreneとPoly(methyl methacrylate)と相互侵入高分子網目(IPNs)を光架橋・重合で作製する際、引き起こされた相分離過程においてヘキサゴナル相の形成がレーザー共焦点顕微鏡のin situ観測で発見された。この二成分高分子は相分離する際、スピノーダル分解を経て、核生成・成長に突入するとき、Ostwald Ripening過程の最中にドロップレット間の合体・成長が架橋によって停止される。光照射を続けるとドロップレットの成長が停止し、ヘキサゴナルに整列することがわかった。この自己秩序化を明らかにするため、Polystyreneネットワークの架橋点であるアントラセンのフォトダイマーを297nmの紫外光の照射で解離させ、IPNsの全体の粘度を低下させた。 その結果、Poly(methyl methacrylate)のヘキサゴナル相の秩序性が向上されたことがわかった。これらの結果は、光重合・架橋で誘起された高分子混合系においてヘキサゴナル相に対応した自由エネルギーの極小が存在することを示唆している。
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Research Products
(5 results)