2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19031021
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 敬二 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (20325509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長村 利彦 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90117200)
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Keywords | 分子鎖 / 界面 / ダイナミクス / ナノ接着 / AFM / ポリスチレン |
Research Abstract |
近年のナノテクノロジーの発展にともない、素材料のスケールダウン、ならびに、それらの集積化技術の開発が望まれている。特に、ナノスケールの材料を接着する技術は、高性能ナノデバイスの構築には必要不可欠である。本年は、接着界面層だけでなく、接着界面もナノレベルにスケールダウンしたナノヒーリング現象を界面分子鎖拡散の観点から考察することを目的として実験を行った。試料として、単分散のポリスチレン(PS)および両末端をフルオロアルキル(R_f)基で終端したPS(PS(R_f)_2)を用いた。ナノ接着力(F_nano)は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた力-変位測定に基づき評価した。(PS/PS)界面を393および365Kで接着させた場合のG_Nの時間発展を測定した。接着温度(Tad)が393Kの場合、G_Nはtadに依存せず、一定であった。同温度でPS二層膜を熱処理した場合、tad=3×10^2sで界面厚(d)は約20nmに到達し、用いたPSの空間的広がり(2R_g=9.3nm)よりも大きくなる。このことから、d>2R_gの条件下ではG_Nは界面厚に依存しないことが示唆された。一方、Tab>10^3sの時間域でG_Nはtadの1/4乗に比例して増加し、10^5s以上でほぼ一定となった。この結果は、分子鎖熱運動性が活性化した界面層をセグメントが相互拡散することで接着強度が発現し、また、セグメン拡散は分子運動の凍結したバルク層で停止することを示唆している。次に、Tab=365Kで(PS/PS)界面を接着させた場合のdとG_Nの関係を評価した。dとG_Nの間には原点を通る比例関係が成立した。このことは、接着強さは界面厚に支配されることを示している。また、ここで評価したG_N値は、被着面積をマクロにして評価した際の接着強度より二桁程度大きな値であった。このことは、理想的な接触状態を実現したナノ接着では、表面粗さや構造欠陥等の影響が著しく低減され、被着体間の界面形成がより明確になることを示唆している。(PS/PS)および(PS(R_f)_2/PS(R_f)_2)界面をTad=365Kで接着させた場合のG_Nの時間発展についても検討しており、界面分子鎖の拡散が無視できる時間域ではvan der Waals力による凝着力が支配的であると結論できる。一方、tab>10^3sの時間域でG_Nはいずれもtad^1/4に比例して増加したが、PS(R_f)_2界面の方がPSよりも大きな値を示した。末端基の表面濃縮を考えると、PS(R_f)_2のT_g^sはPSよりも低いことが予想それる。したがって、同条件で熱処理した場合、PS(R_f)_2の方が界面形成が速くなり、G_N値が高くなったと考えられる。
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Research Products
(5 results)