2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂質類似構造を有するブロック共重合体が形成するミセルネットワークの構造転移
Project/Area Number |
19031024
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安中 雅彦 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (40282446)
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Keywords | ミヤルネットワーク / 疎水性相互作用 / 静電相互作用 / ブロック共重合体 / ゲル / コロイド / 硝子体 |
Research Abstract |
ミセルネットワーク形成の駆動力として,疎水性相互作用および静電相互作用に注目し,両末端を疎水化した高分子,高分子電解質が形成するコロイド複合体について,その微視的構造,動的性質について検討を行った。 1.両末端疎水化感温性高分子の水溶液中での構造形成 両末端がオクタデシル基で修飾されたPoly(N-isoprorylacrylamide)(telechelic HM-PNIPAM)およびpoly(ethylene oxid)(HM-PEO)が水溶液中で形成する自己集合体の微視的構造を中性子小角散乱(SANS)を用いて解析を行った。いずれの場合も散乱関数は高分子ミセルの系に特徴的な挙動を示し,希薄水溶液中でフラワーミセルを形成し,重なり濃度以上の準希薄溶液ではオクタデシル基のミセル間橋かけにより物理ゲルが形成する条件を見いだした。 2.電解質ブロック共重合体と界面活性剤が形成するコロイド複合体 中性感温性高分子-高分子電解質から構成されるジブロック共重合体であるpoly(N-isopropylacrylamide)-block-poly(aclylic acid)(PNIPAM-b-PAA)と,反対電荷を有するカチオン性界面活性剤dodecyltrimethylammonium bromide(DTAB)が形成するコロイド複合体の微視的構造を動的光散乱(DLS)および中性子小角散乱(SANS)を用いて解析を行い,コアはPAAブロックで連結した密にパッキングしたDTAミセルにより構成され,またコロナ部分は熱感応性PNIPAMで構成され,低温域では膨潤したPNIPAM鎖により相分離が抑制され手いるのに対し,臨界温度Tc以上ではPNIPAM鎖の収縮に伴いコロイド複合体の凝集体が形成されることが明らかにした。 豚荷子体の相挙動における塩効果の検討 豚硝子体の相挙動および動的性質に対する塩効果(NaCl,CaCl_2,MgCl_2)を動的光散乱(DLS)で解析すると共に,コラーゲンのネットワークにピアルロン酸ナトリウムが詰まった構造を仮定して,硝子体ゲル中の高分子の密度揺らぎを記述する理論を構築した。その結果,理論は実験結果を良く説明し,かつ硝子体中で高分子は非常に膨潤した状態で存在するととが明らかとなった。
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