2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19031027
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 州正 Kochi University of Technology, 総合研究所, 准教授 (40449913)
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Keywords | 化学物理 / 統計力学 / ガラス転移 / ソフトマター / 非線形レオロジー / モード結合理論 / 自己集積 / コロイド |
Research Abstract |
ガラスは固くて脆い物質の代名詞であるが、身の回りには、固くも脆くもない「ガラス」が溢れている。高濃度のコロイドの分散系やクリームの泡などがそれで、「やわらかいガラス(SoftGlassyMaterials、SGM)」と総称されている。SGMは、外力(シア応力など)を加えると非常に敏感に応答し、ダイナミクスが質的に変化するのが特徴である。我々は、ガラスの力学応答の視点から、SGMの非線形レオロジーの研究を行った。SGMの複素弾性率のシア依存性を調べると、貯蔵弾性率はStrainsofteningを示すが、損失弾性率には奇妙なピークが普遍的に観測されることが、古くから知られていた。このピークの起源は、MCTを用いて微視的な詳細を定量的に解明されている(宮崎,2002-2008)。この議論によれば、複素弾性率の周波数は、シアに依存する構造緩和時間でスケールされる。我々は、この原理を、Time-TemperatureSuperpositionに倣って、Strain-Rate-FrequencySuperposition(SRFS)と呼んでいる。我々は、実験によりSRFSを検証することに成功した。この新しい非線形レオロジー測定法は、ゲルや生細胞のマイクロレオロジーのような問題にも、有効な研究手段の一つになると期待される。 コロイド単体ではなく有限サイズのクラスター化コロイド(あるいはコロイダル・ミセル)を基本構成要素と考え、それらのパーコレーションネットワークとしてコロイドゲルを捉えることを目指している。本年度は、本アプローチに適切なモデル系の探索を行った。その結果、カチオン性タンパク質の代表例であるヒストン分散系が、沈降の無視できる約40nmの単分散クラスターを広い濃度範囲で安定に形成することを、暗視野顕微鏡観察や動的光散乱法により明らかにした。
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Research Products
(29 results)