2007 Fiscal Year Annual Research Report
窒化アルミニウム系深紫外半導体における高密度励起子系の光物性評価と光機能性
Project/Area Number |
19032007
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山田 陽一 Yamaguchi University, 大学院・理工学研究科, 准教授 (00251033)
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Keywords | 窒化アルミニウム / 深紫外波長領域 / 励起子 / 励起子分子 / 結合エネルギー / フォトルミネッセンス / 反射スペクトル / 有効質量比 |
Research Abstract |
高品質窒化アルミニウム(AIN)薄膜を対象として、深紫外波長領域における発光および反射スペクトル測定を行い、その励起子系の基礎パラメータを導出した。測定に用いた試料は、r面サファイア基板上にELO技術を用いて成長されたa面AIN薄膜である。重水素ランプを用いて測定した反射スペクトルにはA自由励起子による共鳴構造が明瞭に観測され、ArFエキシマレーザを励起光源に用いて測定したフォトルミネッセンス(PL)スペクトルにおける自由励起子発光線の同定を可能にした。また、自由励起子の基底状態(n=l)に加えて、励起状態(n=2)からの信号も観測した。その結果、基底状態と励起状態のエネルギー間隔に基づいて、AINにおける自由励起子結合エネルギーをBx=56.8±1.5 meV と導出した。さらに、PLスペクトルの励起パワー密度依存性には、励起パワー密度の増大に対して、その発光強度が非線形に増大する励起子分子の幅射再結合による発光線を観測した。スペクトル解析により自由励起子と励起子分子の発光線のエネルギー間隔を導出し、励起子分子の結合エネルギーをBxx=19.3±1.5 meV と導出した。AINにおける励起子分子発光の観測は世界で初めてであり、その結合エネルギーの値はワイドギャップ半導体の中でも最も大きい。自由励起子の結合エネルギーに対する励起子分子の結合エネルギーの比を求めると、Bxx/Bx=19/57=0.33となる。この値は、他のワイドギャップ半導体に対する値(Bxx/Bx=0.20〜0.25)と比較して大きく、理論計算結果との対比より、AINにおける電子と正孔の有効質量比(σ=m_e^*/m_h^*)が非常に小さな値を有することを示唆しているものと考えられる。
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