2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19034008
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
両角 卓也 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 准教授 (20253049)
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Keywords | 素粒子論 / タウレプトン / CP対称性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、タウレプトンの崩壊を使ってレプトンセクターのCP対称性の破れを理論的に研究ずることにある。具体的には、主にタウレプトンのセミレプトニック崩壊τ→υKπ(η) に着且し、これらの崩壊の標準模型における分岐比、ハドロン不変質量分布、前後方非対称性を計算した。さらにヒッグスdoubletが2つある模型において前後方CP非対称性を求めた。主な研究の成果は以下のとうりである。 1.τ→νkπ崩壊モードの分岐比の理論値は約0.45%で、実験で測定されている分岐比と10%の範囲で一致する値をえた。前後方非対称性をハドロン不変質量分布に関レて求め最大60%程度の大きな前後方非対称性を得た。 2.ヒッグスdoubletが2つある模型において、荷電ヒッグスボソンとタウ、タウニューリノとの結合定数が複素数になる場合に前後方CP非対称性を求めた。 3.崩壊の分岐比やCP非対称性等を計算する上で重要なハドロン形状因子をベクトル中間子やスカラー中間子を導入した模型で求めた。得られた形状因子を使ったτ→υKπ崩壊のハドロン不変質量分布は実験ともよい一致をしめしている。 4.τ→υKη 崩壊に関しては、Kηの不変質量が大きくK *中間子のような特徴的な共鳴状態を介して起こる振幅が小さいために、理論値は実験値め半分程度であることがわかった。この不一致の原因は、より大きい質量の共鳴状態やほかの中間状態のチャンネルが開くなどの非弾性散乱による効果が考慮されていないためであると考えられる。これらの効果を考慮することで実験値を再現できる場合があることが明らかになってきた。 5.ヒッグスdoubletが2つある模型における荷電ヒッグスのCPの破れがタウの電気双極子能率にも関係していることがわかった 以上のように、タウレプトン崩壊のCPの破れを標準模型を超える理論を用いて具体的に予言した。
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Research Products
(8 results)