2008 Fiscal Year Annual Research Report
膜面新規ヘム鉄の役割解明を目指す高等植物チトクロムb6f複合体のX線構造解析
Project/Area Number |
19036003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗栖 源嗣 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (90294131)
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Keywords | 結晶解析 / 光合成 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
シトクロムbc複合体は、b型チトクロム、c型チトクロム、鉄硫黄タンパク質を含む複数のサブユニットから構成され、電子伝達に共役したプロトン輸送を行う膜タンパク質複合体である。チトクロムbc複合体には、構造研究が豊富なミトコンドリア型bc1複合体の他に、b6f複合体と呼ばれる植物型、好気的に生育する細菌が持つ細菌型bc1複合体が存在している。我々は光合成電子伝達における循環電子伝達と膜面新規ヘム鉄との関係に着目している。循環電子伝達は鉄硫黄型反応中心である光化学系I複合体とシトクロムb6f複合体の間で起こる反応である。光化学系I複合体は緑色硫黄細菌など酸素発生を伴わない光合成細菌から進化してきたことがわかっているので、光合成硫黄細菌Chlorobium tepidumが持つ光合成反応中心とFNR、シトクロムbc1複合体にも着目し、並行して構造研究を行っている。C. tepidum FNRについては2.2オングストローム分解能で構造解析に成功した。 我々は、結核菌など感染症の原因となる細菌の代謝系にも着目して研究を展開してきた(Inaoka 2008)。我々は、結核菌M.tuberculosis由来チトクロムclcサブユニットの可溶性ドメインをクローニングし、大腸菌で大量発現させ精製した組換え体サンプルを用いて結晶構造解析を行った。その結果、解離会合を繰り返すミトコンドリア型の可溶性チトクロムcとは、全く異なる様式でチトクロムc酸化酵素へ直接電子伝達する構造基盤が明らかになった。また、膜界面における効率の良い電子伝達を支える膜タンパク質複合体同士による超複合体形成に関しても、構造上の新しい知見を得ることが出来た。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Structures of Trypanosoma cruzi dihydroorotate dehydrogenase complexed with substrates and products : atomic resolutior insights into mechanisms of dihydroorotate oxidation and fumarate reduction2008
Author(s)
Inaoka, D.K., Sakamoto, K., Shimizu, H., Shiba, T., Kurisu, G., Nara, T., Aoki, T., Kita, K. and Harada, S.
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Journal Title
Biochemistry 47
Pages: 10881-10891
Peer Reviewed
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