2007 Fiscal Year Annual Research Report
ロドプシンにおける高効率なG蛋白質活性化を生み出すリガンド結合サイトの分子構築
Project/Area Number |
19036008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
七田 芳則 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (60127090)
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Keywords | ロドプシン / Gタンパク質 / シグナル伝達 / 蛋白質構造変化 |
Research Abstract |
G蛋白質共役型受容体(GPCR)は細胞外からの刺激を受容して構造変化し、G蛋白質を活性化する。この構造変化過程は、(1)細胞外領域へのアゴニストの結合、(2)膜貫通ヘリックスの再配置、(3)細胞質側領域の構造変化、の3段階に分離できる。これらが時間的・空間的に制御されることがGPCRの機能発現に重要である。本年度は交付申請書に記載の計画に沿って下記の研究を行った。 1. β-シート構造を含むECL2のN末端側とC末端側について、切断してもロドプシンが再構築できる部位を探索し、両側について切断箇所を設定できることを明らかにした。また、N末端側あるいはC末端側に切断をいれたロドプシンの反応過程を検討した。一般に切断を加えると蛋白質部分がフレキシブルになり反応は速く進むと考えられるが、興味深いことに、N末端側に切断をいれたロドプシンでは活性状態の生成・崩壊速度が遅くなることがわかった。この結果は、反応に伴うECL2の動きがヘリックスの動きと連動していることを示し、活性状態に至る蛋白質部分の構造変化を考察するうえで重要な情報を与えると期待される。 2. マウスの緑色感受性ロドプシン(マウス緑)はCl-結合サイトを構成するヒスチジン残基を持たないため、他のメンバーに比べて短波長シフトした吸収極大波長を示す。これまでの研究から、ヒスチジン残基のみを導入してもマウス緑を培養細胞系で発現させることができないことが知られている。そこで、我々はどの残基を置換するとCL-結合サイトを持つマウス緑が発現するかを検討し、一つのアミノ酸残基の置換で発現するようになることを発見した。この発見はECL2の立体構造を考察するうえで重要な情報を与える。
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Research Products
(5 results)