2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ心筋ミトコンドリア電子伝達系に存在する膜蛋白質会合体の構造研究
Project/Area Number |
19036010
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 繁春 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (80156504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 加恵子 工芸科学研究科, 工芸科学研究科, 准教授 (00214544)
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Keywords | ミトコンドリア電子伝達系 / 超分子複合体 / 結晶化 |
Research Abstract |
電子伝達系を構成する膜蛋白質(複合体I、III、IV)やクエン酸サイクル中の複合体IIは、ミトコンドリア内膜中に存在し、さらに会合して超分子複合体を形成している。その立体構造をX線解析で決定し、電子伝達系によって生体エネルギーが生み出される機構を解明することを目的に、結晶化に必要な超分子会合体の調製と結晶化条件のスクリーニングを行なった。常法に従ってウシやブタの心筋から調製したミトコンドリアに濃度を変えた様々な界面活性剤を作用させ、Blue Native PAGEで分離・精製した。さらに、精製されてきたものをSDS PAGEで分析することでどのような会合体を得ることができたかを分析した。その結果、ジギトニンを使った場合には、複合体I、III、IVから成る超分子会合体が得られた。電子伝達系では、I→III→IVの順に電子が伝達され、それに伴って各複合体がプロトンポンプするので、この超分子複合体の立体構造が解明できれば、電子伝達機構を明らかにするための基盤を確立できると言える。 一方、ドデシルマルトシドでは複合体1とIIIから成る超分子会合体が得られた。しかし、Blue Native PAGEでは結晶化に必要な大量のサンプルを調製することが困難なので、ゲルろ過や密度勾配超遠心法でサンプルを大量に調製するための条件検討を行った。その結果、ドデシルマルトシドで得られた超分子会合体をある程度の量が精製できるようになったので、結晶化条件のスクリーニングを行なった。いくつかの条件下では微結晶と思われるものが析出したので、それらに対して放射光を用いたX線回折実験を行なった。現時点では、ほとんど回折が得られていないので、今後ジギトニンで得られた超分子会合体を含め、サンプル調製や結晶化条件の最適化を進めていく必要がある。
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