2007 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムによるイオンチャネル活性調節の構造的基盤の解析
Project/Area Number |
19036011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲野辺 厚 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (00270851)
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Keywords | イオンチャネル / 構造生物学 / カルモデュリン / カリウムチャネル / カルシウム |
Research Abstract |
イオンチャネルは一般的にイオン透過を担う膜貫通領域とそれを調節する膜外領域によって構成され、チャネル機能は細胞膜インターフェイスで起こる両者の相互作用によって調節される。細胞内のカルシウムイオン(Ca^<2+>)は細胞質内の主要なCa^<2+>結合蛋白質であるカルモジュリン(CaM)とイオンチャネルの細胞質側に露出した領域との相互作用を介して、イオンチャネルの活性を調節する例が多く報告されている。さらに、CaMはイオンチャネルのfoldingや細胞膜への移行にも関与することが知られている。以上のことは、CaMがイオンチャネルの機能を多様に調節することを示しているが、その本質である構造的基盤は殆ど不明である。心臓活動電位再分極相で機能するカリウム電流IKsは交感神経刺激や、細胞質内におけるCa^<2+>の濃度上昇によっで電流量が増加することが知られている。これは活動電位長の短縮と不応期の確保のために、心臓生理学的に重要な調節機構である。そして、IKsを構成するKCNQ1には、QT延長症候群(LQT1)の原因遺伝子変異が多数見出されており、GaMと結合すると推定されている領域中にも変異が見出されている。本研究では、CaMによるイオンチャネル活性調節機構を明らかにするため、KGNQ1の機能調節の分子基盤を原子レベルで解明することを目的としている。KCNQ1のC末端領域を単独で大腸菌に発現させると、可溶性画分に回収されないが、CaMを共発現させると、ヘテロ複合体として可溶性画分に回収される。これはCaMがIKsの一つのサブユニットとして機能していることを示唆する。ゲルろ過カラム上、ヘテロ8量体として回収されるこの複合体を精製し、単結晶作成を試みた。その結果、SPring-8のBL44XUにおいて2.7Aで回折する結晶の作成に成功した。
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