2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規活性調節因子による三量体G蛋白質制御機構の構造学的解析
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19036013
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水野 憲一 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (90212232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 広 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (10183005)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 薬理学 / 三量体G蛋白質 |
Research Abstract |
線虫の遺伝学的解析から、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤に耐性を持つ変異体の原因遺伝子として同定されたRic-8は、哺乳類ではホモログが2つ存在することからRic-8A、Ric-8Bと呼ばれている。Ric-8AとRic-8BはGαのサブクラスに対する特異性が異なり、Ric-8AはGαq、Gαi、Gα12/13と、Ric-8BはGαq、Gαsと相互作用する。また、生化学的解析によりRic-8Aはin vitroでグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)として機能し、Gタンパク質サイクルを調節することが示されている。一方、Ric-8Bは生化学的、生理的機能が不明である。われわれはRic-8Bを培養細胞に過剰発現させることにより、内在性のGαsタンパク質量が上昇することを見出し、そのメカニズムを明らかにすることを目的に研究を行った。shRNAを用いて内在性Ric-8BをノックダウンするとGαsタンパク質量は減少した。逆にRic-8Bを過剰発現させるとGαsタンパク質は増加した。このような現象は他のGαでは見られなかったことから、Ric-8Bは特異的にGαsの細胞内タンパク質量を正に制御することが示唆された。Gαs mRNA発現量はRic-8B過剰発現によって影響されなかったことから、Ric-8BによるGαsの制御は転写レベルでの制御ではないことが示された。また、培養細胞をプロテアソーム阻害剤MG132により内在性Gαsタンパク質量が上昇すること、細胞内においてGαsのユビキチン化が検出されたことから、Gαsは細胞内においてユビキチンープロテアソーム系による制御を受けることが明らかになった。さらにGαsのユビキチン化はRic-8Bの過剰発現により抑制された。これらのことから、Ric-8BがGαsのユビキチン化を抑制することによりGαsタンパク質量を正に制御することが示唆された。
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Research Products
(10 results)