2007 Fiscal Year Annual Research Report
膜貫通型プロテアーゼの細胞骨格への連結の構造的基礎
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19036014
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
箱嶋 敏雄 Nara Institute of Science and Technology, 情報科学研究科, 教授 (00164773)
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Keywords | NEP / ERM / 膜タンパク質 / アダプタータンパク質 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
精製した組み替え型radixinのFERMドメイン(残基1-310)とII型膜タンパク質であるNEPの細胞質テールの合成ペプチド(22残基)との複合体を、結晶化ロボット(HYDRA-II)を用いて結晶化(a=108.79, b=116.84, c=141.88Å, P2_l2_l2_l、非対称単位に3複合体)して、SPring-8により3.2ÅX線強度データを収集した。通常のMR法により位相決定して、最終的にR_work=0.233/R_free=0.267までREFMACを用いて構造の精密化を行った。構造に基づいて、変異ペプチドを合成して、表面プラズモン共鳴(BIAcore3000)を用いた定量的な結合実験を行った。 得られたFERM-NEP複合体結晶中では、ペプチドの両親媒性領域は、FERMドメインのサブドメインCの浅い溝に結合して、β-鎖とそれに続くヘヤピン構造を形成していた。 このb-b相互作用は、ICAM-2などのI型膜タンパク質の接着分子とのものと極性が同一であり、「II型膜タンパク質であるNEPではβ-β相互作用の極性が逆を向く」ということは起こっていないことが判明した。 NEPの認識には、配列MxITxIN(これをMotif-lb配列と命名した)が重要であることが結論された。ここで、xINx配列がヘヤピン構造を形成し、TxI配列が、ICAM-2のYxV配列に相当する部位に結合する。NEPとMotif-1をもつCD44などの接着分子とのサブドメインC上での結合部位の重複は、NEPとERMタンパク質との相互作用による細胞接着の抑制の構造的基礎を与えている。
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