2007 Fiscal Year Annual Research Report
膜タンパク質の局在化と構造形成におけるソフトな相互作用
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19036030
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
木田 祐一郎 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 助教 (10423899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 雅郎 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (30205736)
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Keywords | 膜タンパク質 / シグナル配列 / 膜トポロジー / 生体膜 / タンパク質膜透過 / オルガネラ / トランスロコン |
Research Abstract |
1.小胞体における膜タンパク質の膜への組み込みは,トランスロコンと呼ばれるタンパク質膜透過チャネルを介して行われる。ポリペプチド鎖がトランスロコンを通過する際の挙動解析を目的として,粗面小胞体を添加した無細胞タンパク質合成系において膜透過を任意に停止・再開できる新規制御系を構築した。またこの膜透過制御系を利用して,膜貫通配列2本および膜透過途中の親水性配列2本が膜を貫通したままの,複雑な膜組み込み中間状態を形成できた。この2本の親水性配列が共にトランスロコン本体であるSec61複合体と近接していることも,分子間架橋実験より明らかとなった。1個のSec61チャネルのみでトランスロコンとしての機能を発揮できるとしたモデルが以前の報告で提唱されているが,本結果はトランスロコンが単一のチャネルのみでは説明できないほどフレキシブルであり,多くのポリペプチド鎖を許容できることを示唆している。(Kida, et. al.,J.Cell Biol.179,1441-1452,2007) 2.トランスロコン関連タンパク質,ヒトSec62並びにSec63の機能解析を目的として,各タンパク質の293-H細胞由来の安定発現株からSec62またはSec63と共精製されるタンパク質の探索を行い,数種のタンパク質が同定された。これらのcDNAも取得できており,個々の相互作用及び複合体状態の解析に着手している。 3.ミトコンドリア内膜に存在するABC輸送体の局在化シグナル配列は,マトリクス可溶性タンパク質のものに比べて長く,膜タンパク質を小胞体標的化から回避させつつミトコンドリアへと局在化させる機能を有する。ミトコンドリアABC輸送体の1つ,ABCmeのシグナル配列を大腸菌で発現・精製し,NMR解析を行ったところ,特定の構造は検出されなかった。現在,ミトコンドリア外膜のシグナル配列受容体共存下での構造情報取得を検討中である。
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