2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸性オルガネラのpH感知・制御メカニズムと膜のダイナミクス
Project/Area Number |
19036033
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
孫 戈虹 (和田 戈虹) Doshisha Women's College of Liberal Arts, 薬学部, 准教授 (00314427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 裕幸 同志社女子大学, 薬学部, 助手 (70378785)
川村 暢幸 同志社女子大学, 薬学部, 助手 (30411086)
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Keywords | メラノサイト / 酸性オルガネラ / 液胞型プロトンATPase / イオン環境 |
Research Abstract |
皮膚や髪の毛に含まれるメラニン色素は生体を有害な紫外線から守るために重要な役割を果たしている。メラニン色素はメラノサイトと呼ばれる特殊な細胞で合成され、核周辺でメラノソームに貯蔵された後、膜輸送によって微小管とアクチン線維に沿って細胞膜まで移動し、最終的に皮膚や髪の毛の細胞(ケラチノサイトや毛母細胞)に移送される。また、メラノサイトががん化すると、メラノーマ(悪性黒色腫)という非常に転移性の高いがん細胞になることが知られている。メラノソームは、エンドソーム・リソソーム系の酸性オルガネラである。成熟なメラノソームの内腔pHが4.0まで達することが知られている。この酸性化に中心的な役割を果たしているのは、ATPの加水分解エネルギーに共役して、内腔へH^+を能動的に輸送する、液胞型プロトンATPase(Vacuolar-type proton ATPase,V-ATPase)である。これまで、V-ATPaseの特異的な阻害剤などを用いた解析から、メラノソームの酸性pHはメラニン産生、メラノソームの輸送、さらにはメラノーマの転移に密接に関わっていることが示唆されているが、詳細なメカニズムに関しては未だ明らかではない。私たちは、メラノソームに特異的に局在するaイソフォームを明らかにするために、マウス由来のメラノーマ株化細胞B16およびメラノサイト初代培養細胞を用いて、蛍光抗体法でサブユニットaの各アイソフォームの局在を調べた。その結果、a1およびa2はゴルジ装置のマーカーと一致しているのに対して、a3が後期エンドソーム/リソゾームおよびメラノソームに局在していることが明らかとなった。さらに、a3が欠損したノックアウトマウスよりメラノサイトを調製し、メラノソーム酸性化の機能に関する解析を行った。
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