2007 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴマー形成によるGタンパク質共役受容体の機能調節機構
Project/Area Number |
19036036
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
中田 裕康 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (00041830)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 一也 財団法人東京都医学研究機構, 副参事研究員 (00219643)
|
Keywords | Gタンパク質共役受容体 / ダイマー / プリン受容体 / アデノシン / ATP / BRET / 血小板 / 免疫沈降 |
Research Abstract |
多くのGタンパク質共役受容体(GPCR)同士が細胞膜上でダイマーを形成してGPCRの特異性,細胞内移動,シグナル伝達などに変化を与えることが報告されている。我々はGPCR型プリン受容体であるアデノシン受容体やP2Y受容体がダイマーを形成しやすく,いろいろな組み合わせでヘテロダイマーやホモダイマーとなることを示してきた。このようなGPCR同士のオリゴマー形成の分子機構の解明のためにG_<i/o>。型プリン受容体のひとつであるA_1アデノシン受容体のホモダイマー形成に関与するインターフェイスの検索を試みた。A_1アデノシン受容体の膜貫通ドメイン(TM)のうちTM4とTM5に着目した。これらTMのアミノ酸の中で受容体分子の外側に露出していると思われるアミノ酸をそれぞれ2個選び,計4個のアミノ酸のsite-directed mutagenesisをおこない,ホモダイマー形成への影響を調べた。培養細胞に発現させ,細胞膜画分のウェスタンブロットや免疫共沈降でダイマー形成を解析した。その結果,ホモダイマー形成率においてワイルドタイプ受容体と変異体の間にはほとんど差はなく,これらのアミノ酸がA_1アデノシン受容体のホモダイマー形成に直接に関与する可能性は低い。ところが,4種の変異体のうちTM4のTrpを変異させた変異体がリガンド結合活性を失っていることがわかった。アンタゴニストおよびアゴニストとの結合活性を失うており,この残基がリガンド結合サイトの形成に重要な役割を果たすことが示噂される。実際,A_1アデノシン受容体のリガンド結合部位の推定立体構造から,このTrp残基はリガンドと直接結合するのではなく,リガンド結合ポケットの形成を安定化する役割を果たしていることが予想された。今回の研究では,ダイマーインターフェイスを探るという当初の目的を果たすことができなかったが,副次的にA_1アデノシン受容体の活性に重要なTrp残基の存在をアデノシン受容体において初めて明らかにすることができた。
|