2008 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴマー形成によるGタンパク質共役受容体の機能調節機構
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19036036
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
中田 裕康 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (00041830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 一也 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00219643)
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Keywords | Gタンパク質共役受容体 / ダイマー / アデノシン受容体 / インターフェイス / BRET / 分子モデリング / P2受容体 |
Research Abstract |
アデノシンやATPなどのプリン化合物は細胞膜に存在するアデノシン受容体やP2受容体(プリン受容体と総称される)に結合することで神経活動、筋肉の収縮や弛緩、睡眠など多種の生理作用を調節することがわかってきた。我々はこれまでプリン受容体の調節機構としてタンパク分子との相互作用、とりわけ受容体同士のダイマー形成がプリン受容体の活性や機能を調節する可能性を示す結果を報告してきた。今年は昨年に引き続き、アデノシン受容体のサブタイプであるA_1アデノシン受容体のホモダイマー形成に関与する部位(インターフェイス)の検索と解析をおこなった。結晶構造が明らかになっているロドプシン構造をもとにしたモデリングでTM4とTM5がダイマーインターフェイスである可能性が示唆されたので、TM4とTM5に存在するアミノ酸の中で外部と相互作用しやすい部位に存在する4ヶ所のアミノ酸残基を変異させ、BRET法によりダイマー形成が阻害されないかを調べた。しかし、予想に反してこれらの変異体のダイマー形成率は、野生型に比べて減少しなかった。一方、興味深いことにこの変異体はリガンド結合を失っていること、それが132番目のTrpであることが明らかになった。このTrpはA_1アデノシン受容体のみならず、ほかの多くのGPCRにおいて極めて保存性の高い残基であることは注目に値する。Trp132の変異を受けたA_1アデノシン受容体が細胞膜に正常にローカライズできない可能性は受容体を発現させた培養細胞における受容体の免疫顕微鏡観察及び細胞膜ビオチン化実験により否定された。Trp132をAlaのみならずPheに変異させても活性は失われるので、Trp側鎖の芳香性が失われたことが失活の原因ではない。分子モデリングにより、Trp132はリガンドに近いTM3とTM5の4つの残基と近接しており、互いに直接結合している可能性が示唆され、リガンド結合活性に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)