2007 Fiscal Year Annual Research Report
個体遺伝学を用いた軸索輸送モーター分子のスイッチング機構の解明
Project/Area Number |
19037015
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
内田 敦子 Mie University, 大学院・医学系研究科, 講師 (30432371)
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Keywords | 軸索輸送 / 分子モーター / 細胞生物 / 神経科学 / 細胞骨格蛋白質 |
Research Abstract |
神経細胞は、一定方向に情報処理を行うことに極めて特化した細胞であり、軸索輸送は、長い突起をもつ神経細胞独自の特殊な構造を維持するために必要不可欠な輸送システムである。その輸送制御機構を明らかにする手がかりとして、ラット上頚神経節の初代培養神経細胞にGFPで標識したニューロフィラメントを発現させ、ニューロフィラメントの輸送をリアルタイムイメージングで観察したところ、ニューロフィラメントは神経終末まで運ばれ、ほとんどのニューロフィラメントが神経終末で輸送方向を変え、再び細胞体方向へと逆行輸送されることがわかった。この実験で観察されるような迅速な輸送方向転換がスムーズに行われるためには、順行性モーターであるキネシンと、逆行性モーターであるダイニンが瞬時に置き換わる、もしくは両者の働きを調節するなんらかのメカニズムが存在しなくてはいけない。そこでそのモーター分子の調節機構を明らかにするために、モーター部位を欠損させたKIF5Aをマウス初代神経培養細胞に強制発現させ、順行性の輸送を阻害したところ、順行性の輸送に加えて逆行性の輸送も阻害されることがわかった。またKIF5Aノックアウトマウスでも同様に両方向への輸送が阻害されていることがわかった。さらにそのマウスから得られた神経培養細胞に、KIF5Aをトランスフェクションすると両方向への輸送が回復した。これらの結果から両方向性のモーターが同時に輸送担体に結合し、それぞれのモーターが直接的、もしくは間接的に互いを調節し合いながら輸送方向を決定することが考えられる。
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Research Products
(2 results)