2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経極性を形づくる微小管重合を制御する神経ステロイド
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19037019
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
植田 弘師 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00145674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 誠 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60380987)
藤田 亮介 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70380855)
植田 睦美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 産学連携研究員 (30437834)
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Keywords | 神経ステロイド / MAP2 / 微小管 / アクチン / シナプス / スパイン / FRAP / 神経可塑性 |
Research Abstract |
神経細胞は神経間情報交換のため常にシナプス形成と樹状突起可変動を繰り返している。特に樹状突起は情報伝達の入力を司り、その可変動は細胞骨格タンパク質とそれを制御するmicrotubule associated protein 2 (MAP2)の働きに起因している。我々は生体内物質である神経ステロイドの一群が、MAP2に作用することで微小管ダイナミクスを変化させるナノシステムの存在を見いだし、その全容解明を行ってきた。本年度は、ストレス応答ホルモンであるコルチコステロン(CORT)によるMAP2を介した微小管ダイナミクスの解析を再構成系及び、細胞レベルにおいて試みた。CORTのMAP2Cへの結合は、分子間相互作用定量水晶発振子(QCM)法により、アンタゴニスト効果を有するプロゲステロン(PROG)処置で競合的に拮抗し合うことを明らかとした。そこで、MAP2CにおけるCORT結合部位を同定するため、アミロイド結合部位と目されるアミノ酸(AA)配列を含む1-71AAを除した変異タンパク質(Δ1-71 MAP2C)を作製し、QCMを用いた検討を行った結果、CORTの結合がなくなった。さらに他の神経ステロイドについても同様の結果が示され、1-71AA部位にステロイド結合部位が存在することが示唆された。そこで、tubulin重合に対する検討を行ったところ、Δ1-71 MAP2Cのみでは、全長のMAP2Cの場合と同程度のtubulin重合であった。一方、CORTによるtubulin重合の抑制はΔ1-71 MAP2Cを用いた場合において、完全に阻害された。次に、培養海馬神経細胞での微小管ダイナミクスの検討を行うため、蛍光タンパク質融合微小管(Ac-EGFP-tubulin)を用いて、細胞内tubulin動態を可視化し、FRAP法を用い解析した。CORTの処置では、自発的に重合を行うtubulinの重合速度が0.41倍に低下される事、24時間後には樹状突起を著しく退縮させる事が示された。一方、CORTによるこの効果は、単独では樹状突起伸展に影響しないプロゲステロン(PROG)によって拮抗される事が明らかになった(Cort+PROG:0.41→1.2倍)。現在、MAP2Cがアクチン重合にも関与することが示されて事から、その詳細な解析を行っている。
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Research Products
(3 results)