2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19037022
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
宗行 英朗 Chuo University, 理工学部, 教授 (80219865)
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Keywords | ナノバイオ / 分子モーター / 生物物理 / 一分子計測 |
Research Abstract |
平成19年度までに回転電場法によって, F_1-ATPaseに時間空間的に均一なトルクをかけることに成功し, 実験系の改良を行った. その結果, 20年度には外部トルクのステップ回転に対する効果をより定量的に評価して, ステップを起こす時の遷移状態のγサブユニットの角度が, ATP結合待ちの角度から加水分解方向においても合成方向においても, 約10°離れていることが分かった. ステップ運動全体は120°の回転であり, 加水分解反応と合成反応の遷移状態が同じポテンシャルの頂点であるとすれば, 遷移状態の角度の和は120°になるべきである. しかし得られた結果はその予想とは大きく食い違っている. このことは加水分解の時と合成の時にはF_1のコンフォメーション状態が異なっていることを示唆する. 現在, 全反射照明系と蛍光性ATPアナログを用いて, 外部トルク存在下のステップ回転とATPの脱着が1:1に対応していることを検証しようとしている. 一方, 揺らぎを伴う回転運動によってどれくらいのエネルギーが散逸するかを揺動散逸定理の破れと非平衡的なエネルギーの散逸を結びつけるHarada-Sasa等式を利用して見積もった. これには微小な正弦波の外部トルクを加え, それに対する応答と揺らぎの分散を測定する必要があるが, 我々の回転電場による外部トルク印可システムはそのような測定をするのに理想的なものであり, 能動的に動いている分子モーターに対して世界で初めて運動方向の自由度に散逸するエネルギーの定量ができた. その結果, 異なるATP加水分解の自由エネルギー(ΔGATP)の条件を含む様々な条件で, 回転の自由度を介して散逸されるエネルギーはΔG_<ATP>にほぼ一致しているという驚くべき結果が得られた.
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[Journal Article] Temperature Dependence of the Rotation and Hydrolysis Activities of F_1-ATPase2008
Author(s)
Furuike, S., Adachi, K., Sakaki, N., Shimo-Kon, R., Itoh, H., Muneyuki, E., Yoshida, M., Kinosita, K.
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Journal Title
Biophys. J. 95(2)
Pages: 761-770
Peer Reviewed
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