2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19037027
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
野中 茂紀 National Institute for Basic Biology, 時空間制御研究室, 准教授 (90435529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 知己 生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 准教授 (50291084)
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Keywords | 発生・分化 / 生理学 / 細胞・組織 / 流体 / 生物物理 |
Research Abstract |
受精後7.5日のマウス胚は体制も遺伝子発現も左右対称だが、腹側表面にあるノードと呼ばれる窪みの表面において、繊毛が時計回りに回転すること及びその回転軸が胚の尾側に傾いていることによって、体の左側に向かう水流を作る。この水流が左右非対称な遺伝子発現を誘導し、さらに左右非対称な内臓配置をもたらすことがわかっている。しかし水流が検知され非対称な遺伝子発現を起こす機構はよくわかっていない。この過程にCa^<2+>シグナルが関わるという報告があったことから、我々はノード組織におけるCa^<2+>を観察し、新しいタイプの細胞内Ca^<2+>上昇を発見した。今年度はその解析に必要なハードウェアの整備を進めた。 実験開始時は倒立型顕微鏡システムを用いた2光子イメージングによりCa^<2+>上昇パルスの時空間分布の観測と薬剤添加による分子実体の同定を試みたが、倒立型では長時間観察すると胚が動いてしまうこと、また薬剤添加実験が難しいことがわかったため、新たに正立型のシステムを立ち上げた。さらに、ノード組織はおよそ50μm×50μm×30μm程度の大きさを持つことから、この組織全体のCa^<2+>動態を高速で測定できるよう、対物レンズをピエゾ素子で高速駆動すると共に、励起光の開口率を下げてZ方向の空間解像度をわざと落とすように顕微鏡を改造した。結果、10秒程度の長さをもつCa^<2+>パルスに対して、ほぼ3秒程度で組織全体をスキャンできるようになった。現在はCa^<2+>パルスの時空間分布データを蓄積中である。
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