2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞におけるM期から複製開始にいたるまでの染色体構成因子のプロテオーム解析
Project/Area Number |
19038002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小布施 力史 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (00273855)
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Keywords | プロテオーム / 染色体 / 質量分析 / インフォマティクス / ヘテロクロマチン / 定量プロテオミクス / クロマチン / 細胞周期 |
Research Abstract |
本課題は、ヒト染色体の構成因子の量的な変動を、質量分析をもちいたプロテオーム解析により網羅的に明らかすることを目的としている。19年度までに、蛋白質の定量解析のインフォマティックス技術を沖縄大学院大学先行事業の長尾博士とともに開発した。これに基づいて、20年度は、間期からM期において、染色体の維持伝達、情報発現調節などに深く関与するヘテロクロマチン構成因子のHP1に着目し、その結合因子の網羅的な解析を行った。また、その中からいくつかの因子について個別の機能解析を行い、新たな染色体機能を浮き彫りにした。さらに、核内構造も含めたプロテオーム解析のための技術開発も行った。具体的には、以下の通りである。 1)新たに同定したHP1相互作用因子について、野生型のHP1あるいは構造情報に基づいて作成した変異体との結合をインォマティクスにより定量的に比較し、HP1への結合様式の違いにより6つのグループに分けることができた。 2)多くのHP1結合蛋白質がPxVxLモチーフを介してHP1と結合するのに対して、ジンクフィンガーモチーフを介してHP1と結合する新規HP1結合タンパク質を見いだした。 3)この新規HP1結合因子の発現を抑制したところ、HP1の局在は乱れ、セントロメアコヒーションの異常、動原体形成の異常、分裂期染色体の成熟の異常が観察された。また、これらの染色体機能には新規因子とHP1との結合が寄与していることが示唆された。 4)核膜因子の可溶化法を確立し、核構造と染色体の機能調節という見地からのプロテオーム解析の可能性を示すことができた。また、Flagタグを付加した6種類の核膜蛋白質をそれぞれ発現する細胞株を樹立し、可溶画分からそれぞれの核膜因子複合体を免疫精製し同定することができた。その結果、ある種のクロマチンリモデリングファクターなど、染色体因子が核膜と相互作用することが示唆された。
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Research Products
(16 results)