2007 Fiscal Year Annual Research Report
条件不安定化ヒト人工染色体を用いたセントロメア機能と核再形成の研究
Project/Area Number |
19038011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
舛本 寛 Nagoya University, 名古屋大学・大学院・理学研究科, 准教授 (70229384)
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Keywords | 細胞核 / ヒト人工染色体 / セントロメア |
Research Abstract |
当研究者は、ヒトセントロメア由来のアルフォイドDNAにtetオペレーター配列(tet0)を挿入し、この配列からなるヒト人工染色体(HAC)を開発した。本研究では、人工染色体を用いて、セントロメア機能と核形成との関連性について明らかにすることを目的として以下の研究を進めた。(1)tet0アルフォイドHACを用いたセントロメア機能の解析:tet0を組み込んだアルフォイドDNA配列からなるヒト人工染色体には機能するセントロメアが形成され細胞分裂を経て安定に分配維持される。転写の強力なサイレンサーでありヘテロクロマチン様のヒストン修飾(トリメチル化ヒストンH3-K9; H3K9me3)を誘導するtTS (SD^<kid>とtetRの融合蛋白)をtet0に結合させると、tet0アルフォイドDNA上にH3K9me3が集合し,これに伴いキネトコアタンパク質は消失し、セントロメア機能が失われることを明らかにした。さらにtetRとヘテロクロマチンタンパク質HP1との融合タンパク質をtet0配列へ直接結合させた場合にも、セントロメアクロマチン構造が失われることから,ヘテロクロマチン形成はセントロメアクロマチン形成に対して拮抗的に働くことを証明した。セントロメア機能を失った人工染色体は再形成核に取り込まれずに微小核を形成することを明らかにした(Nakano, et. al., Dev. Cell)。(2)異所的セントロメア配列不活性化の機構解明:アルフォイド配列をマウス胎児由来線維芽細胞染色体へ挿入させた細胞株を得た。アルフォイド配列挿入部にCENP-Bを結合させるとヘテロクロマチン形成が起こり、セントロメア不活性化反応が引き起されることを明らかにした。CENP-Bタンパクはセントロメア形成を促進する反応に関わるとともに、これとは逆に抑制する反応にも関わることを証明した(Okada, et. al., Cell)。
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Research Products
(7 results)