2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア呼吸鎖と光合成系・窒素同化系との相互作用の解析
Project/Area Number |
19039009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 航 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (80304004)
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Keywords | 環境 / 植物 / ストレス / 生理学 / 呼吸鎖 |
Research Abstract |
1 低温環境下での葉のAOXの役割の解明 AOXが誘導されやすい低温下においてシロイヌナズナ野生株(WT)とAOXla遺伝子のT-DNA挿入株(aoxla)の葉を比較した。低温後、WTでは主にAOXla遺伝子が誘導された。aoxlaでは低温後に、ATP合成とは共役しないNDB2やUCP1が誘導された。またaoxlaではWTよりも活性酸素消去系遺伝子がより誘導された。aoxlaでは葉に炭水化物が蓄積し、葉の炭素(C)/窒素(N)比はWTよりも高くなった。低温下の葉ではAOXは葉のCNバランスを保つのに働いていると考えられる。 2 NH_4^+条件下でのAOXの誘導メカニズムの解明 NH_4^+条件に植物体を移すと、呼吸速度の増加とAOXの誘導がおこるが、詳細は不明である。今年度はNH_4^+条件下におけるAOXの誘導メカニズムを明らかにすることを目的とした。シロイヌナズナ野生株を様々な窒素環境に移し、シュートのAOXの最大活性、NO_3^-量、NH_4^+量の変化を調べた。その結果、NH_4^+条件下におけるAOXの誘導は、NH_4^+量の増加や過剰還元力の蓄積量の増加よりも、主にNO_3^-量の減少により説明できる可能性が高かった。 3 葉の呼吸鎖遺伝子の発現誘導メカニズムの解析 呼吸鎖と光合成系との相互作用において、葉緑体やミトコンドリアから核へのシグナル伝達により、呼吸鎖遺伝子が誘導されると考えられているが、その詳細は不明である。シロイヌナズナ葉に様々処理を行い、呼吸鎖遺伝子の発現を解析した。その結果、強光処理に誘導される複数の遺伝子のうち、AOXlaとNDB2は呼吸鎖の阻害やH_2O_2により共発現されること、NDA1は光合成系からのROSに誘導されることがわかった。
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