2007 Fiscal Year Annual Research Report
プラスチド分化は膜糖脂質合成の制御とどのようにリンクしているか?
Project/Area Number |
19039010
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
太田 啓之 Tokyo Institute of Technology, バイオ研究基盤支援総合センター, 教授 (20233140)
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Keywords | 植物 / 脂質 / 葉緑体 / 糖脂質 / 糖転移酵素 |
Research Abstract |
植物細胞におけるプラスチドの動的変化において、形態的に最も大きな変化は、チラコイド膜やプロラメラボディなどの内膜組織の形成や消失である。我々は、シロイヌナズナのプラスチドの内包膜と外包膜に2つの主要な糖脂質合成系が存在し、それぞれが、光、栄養条件などの外的環境や、植物ホルモンなどの内的因子によって異なる制御を受けているという新しいモデルを提唱した。本研究では、このような異なる経路を介したプラスチド膜脂質の生合成制御がプラスチドの分化そのものにどのような形で寄与しているかを明らかにすることを目的として研究を行う。 シロイヌナズナリン欠乏条件下のmgdl-2変冥体について脂質分析を行ったところ、MGDGの蓄積は認められなかったが、DGDGが顕著に蓄積していることがわかった。また光学顕微鏡観察により、プラスチド内にドット状のクロロフィル蛍光が認められた。電子顕微鏡観察の結果、部分的なチラコイド膜の発達が認められた。また、クロロフィルの蓄積と一致して、クロロフィル合成系遺伝子の発現とLHCタンパク質の蓄積も認められた。一方、弱い緑化とチラコイド膜の発達が認められるにもかかわらず、PAMによる光合成活性の解析においては、光合成活性は検出されなかった。 以上の結果から、mgdl-2変異体のジン欠乏条件におけるDGDGの蓄積は、外包膜の糖脂質合成経路の活性化により引き起こされたものと考えられる。また、リン欠乏条件め外包膜の糖脂質合成経路の活性化により、MGDGの蓄積はほとんど認められなかったことから、外包膜の糖脂質合成経路はDGDGの合成に特化しているものと考えられる。 また今回の結果、DGDGの増加により、クロロフィルの蓄積やチラコイド膜の発達がある程度認められたことから、これらに関しては、MGDGは必須ではないことが判った。一方、光合成活性が全く検出されないことから、MGDG自身が光合成活性の発現に必須であると考えられる。
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[Journal Article] Induction of isoforms of tetrapyrrole biosynthetic enzymes, AtHEMA2 and AtFC1,under stress conditions and their physiological functions in Arabidopsis.2007
Author(s)
Nagai S, Koide M, Takahashi S, Kikuta A, Aono M, Sasaki-Sekimoto Y, Ohta H, Takamiya K, Masuda T
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Journal Title
Plant Physiol. 144
Pages: 1039-1051
Peer Reviewed
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