2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19039011
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
加藤 朗 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (70303112)
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Keywords | ペルオキシソーム / シロイヌナズナ / タンパク質輸送 / プロセシング / 分子シャペロン / 環境ストレス |
Research Abstract |
高等植物のペルオキシソームには複数の分子シャペロン様タンパク質が局在するが, それらの生理的機能は不明である。申請者は材料としてシロイヌナズナとその突然変異体を用い, 分子生物学, 生化学, 分子遺伝学の手法によって3つのシャペロン様ペルオキシソームタンパク質(HSP15.7, Lon2, Deg15)の生理機能解析を行った。その結果, 次のような結果が得られた。(1) 低分子量熱ショックタンパック質ホモログであるHSP15.7を欠損した変異シロイヌナズナでは, 42℃の高温ストレスで光合成活性が低下したことから, HSP15.7は高温下における光呼吸活性の維持に関与ずると推定された。(2) 分子シャペロン活性を持つ多機能プロテアーゼであるLon2を欠損した変異シロイヌナズナでは, 種子発芽時に2, 4-DB耐性を示すことがわかった。これはLon2が発芽時におけるβ酸化系の機能発現に関与することを意味する。(3) 大腸菌DegプロテアーゼのホモログであるDeg15を欠損したシロイヌナズナでは, ペルオキシソームタンパク質の高分子量前駆体が蓄積した。また発芽初期において, 脂肪代謝系酵素群の発現が転写ならびに翻訳レベルで変動し, さらにβ酸化系活性が低下した。これら, Deg15がペルオキシソームタンパク質の成熟化を担うプロセシングプロテアーゼであること, 発芽初期における脂肪酸代謝系酵素群の遺伝子発現制御に関与することを示している。以上の結果から, 高等植物におけるペルオキシソームの機能発現, 機能維持には複数のシャペロン様タンパク質が関与することが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)