2007 Fiscal Year Annual Research Report
アジサイガク片の着色に伴う液胞への物質集積と環境応答機構の研究
Project/Area Number |
19039012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 久美 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (90210690)
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Keywords | アジサイ / 青色発色 / ミクロHPLC / デルフィニジン3グルコシド / 紫色発色 / 液胞内成分 / 液胞pH / 助色素 |
Research Abstract |
アジサイガク片よりプロトプラストを調製し、液胞pHと有機、無機成分の組成の違いを単一細胞で分析して細胞の色との相関を調べた。赤色品種の赤色液胞(平均吸収極大537nm±4)のpHは3.1、青色品種の青色液胞(平均吸収極大588nm±4)のpHは3.6で有意に青色が高かった。これに対し、青色品種の紫色ガク片の細胞(吸収極大波長539-579nm)の液胞pHは平均3.3であったが、細胞の色との相関は全く認められなかった。この紫色ガク片では、アントシアニンの液胞内濃度もほぼ一定で(7mM程度)細胞の色との相関は無かった。しかし、助色素類のうち、ネオクロロゲン酸と5-p-クマロイルキナ酸は、細胞の色が青くなるほど有意に増加した。吸収極大波長が539nmの細胞ではそれぞれ、アントシアニンに対し1.5当量および0.2当量であったのに対し、吸収極大波長が579nmの細胞では2.8当量および、1.8当量であった。一方、クロロゲン酸は細胞の色に応じた含有量の増加は認められなかった。さらにAl^<3+>量も細胞色が青色化するのと連動して増加した。吸収極大波長539nmの赤色細胞ではアントシアニンに対して2当量以下であったのに対し、吸収極大波長が579nmの青色細胞では、4当量以上であった。得られた分析結果をもとに、アントシアニンと助色素およびAl^<3+>を試験管内で混合し、各色の再現実験を行った。発色は、溶液のpH、ネオクロロゲン酸量、Al^<3+>量のすべてに依存して変化することがわかった。pH3.0では、青色発色には2当量以上のネオクロロゲン酸と3当量以上のAl^<3+>を必要としたのに対し、pH3.5ではそれぞれ1当量、2当量以上、pH4.0となるとそれぞれ1当量以上でほぼ青色が発色した。以上から、アジサイの発色には、多数の因子が関与することがわかり、それらの成分の液胞への蓄積の制御および液胞pHの制御が関わることが明らかになった。
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[Presentation] Chemical Studies on Color Development and Variation of Hydrangea macrophylla.2007
Author(s)
Ito, D., Shinkai, Y., Miki, N., Kato, Y., Kondo, T., Yoshida, K.
Organizer
12th Asian Chemical Congress (International Symposium on Natural Products and Medicinal Chemicaty 2007).
Place of Presentation
Kuala Lumpur, MALAYSIA
Year and Date
20070823-25
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[Presentation] Role of Tonoplast-localized NHX1 in Blue Morning Glory Petals.2007
Author(s)
Yoshida K., Miki1, N., Katou, K., Okazaki, Y., Uozumi, N., Maeshima, M., Kondo, T.
Organizer
14th International Workshop of Plant Membrane Biology
Place of Presentation
Valencia, SPAIN
Year and Date
20070626-30
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