2007 Fiscal Year Annual Research Report
花粉の成熟と飛散に重要な雄しべの細胞のオルガネラの発達と分解
Project/Area Number |
19039014
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 澄衞 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (50260039)
|
Keywords | シロイヌナズナ / 花粉 / ポレンコート / タペート細胞 / 脂質蓄積性オルガネラ / ジャスモン酸 / 葉緑体 / リパーゼ |
Research Abstract |
1.リパーゼ様タンパク質EXLのポレンコート形成における機能の解析 ポレンコートの主要なタンパク質であるEXL4とEXL6の遺伝子を両方とも抑制したシロイヌナズナは雄性不稔性を示す。さらに詳細に解析したところ、この植物の花粉はポレンコートの形成が不完全になるため柱頭上で吸水できないことがわかった。その結果花粉管を伸長させることができないのが不稔の原因である。EXL4-GFP融合タンパク質はタペート細胞内で顆粒状の構造に蓄積していたので、この構造が何であるか解析を進めている。 2.ポレンコート脂質の分析 シロイヌナズナのポレンコートに含まれる脂質をGC-MSを用いて分析した。飽和炭化水素を中心とするワックス類とステロールエステルが主成分で、ワックス類の組成は茎の表面のワックスと似ていたが、ポレンコートにしかない成分もかなり含まれていた。存在すると考えられていた遊離脂肪酸は検出されなかった。これらの脂質成分は主にタペート細胞の脂質蓄積性オルガネラに由来し、花粉が稔性を持つのに必須の構成成分であることは明らかにされているが、乳頭細胞と花粉との認識反応に直接関わっているわけではないこともわかってきた。 3.ジャスモン酸生成に働くリパーゼの解析 DAD1は葉緑体膜脂質を分解し、ジャスモン酸の前駆物質を供給する働きを持つ。さらに解析を進めた結果、DAL1〜DAL6も同様の働きを持つことがわかった。花粉の成熟と飛散には特に雄しべでジャスモン酸を生成する必要があるが、この働きを持つDALも同定することができた。
|