2008 Fiscal Year Annual Research Report
色素体ヘテロ転写系を中心とする分子機能相関と統御機構
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19039021
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金丸 研吾 Kobe University, 農学研究科, 准教授 (90260025)
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Keywords | 色素体 |
Research Abstract |
<目的>色素体ヘテロ転写系を構成するPEP(複数のσ因子が存在)とNEP(すなわちRpoTpとRpoTmp)相互のあるいは制御因子を介した相関性を紐解き、核と色素体のゲノム間相互作用によるオルガネラ分化、細胞機能、形態形成の統御ネットワークを解明する。 <成果>モデル植物シロイヌナズナにおいてNEPと発現相関性が高いPPR(35アミノ酸の繰り返し構造をもつ一群のタンパク質で特異的RNA結合能が示唆されている)のひとつに焦点を当てた。そして葉緑体に局在するこのタンパク質が脂肪酸合成の初期段階を律速する酵素の1サブユニット発現における転写後調節(mRNA前駆体の特定C残基がU残基デアミネーションされる反応)に関わっていることを欠損変異株の解析から明らかにした。さらにこの欠損株は葉緑体の発達不全だけでなく、植物固体全体の形態形成にも重篤な欠損な欠損を示し、色素体機能が細胞統御に及ぶことを示した。 <意義>究極の共生体である色素体は少なくとも双子葉類において遺伝子発現レベルで脂肪酸合成系の根幹を今なお握っており、「もちつもたれつ」の関係があることを明らかにした。同時に植物での脂肪酸合成を人為的に制御、向上させる標的分子としてこのPPRは有望である。同じ遺伝子における同様の転写後調節現象はアブラナ科、マツ、マメ類においても知られており、これらの油糧系作物の脂肪酸合成促進を当該PPRもしくはそのホモローグを用いて達成可能であると考え、シロイヌナズナで実際にその効果が示唆されたため国際特許を申請した。
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