2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19039025
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中川 強 Shimane University, 総合科学研究支援センター, 教授 (30202211)
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Keywords | 植物 / シロイヌナズナ / 気孔 / 孔辺細胞 / 形態形成 / 小胞輸送 |
Research Abstract |
孔辺母細胞の細胞質分裂異常の原因遺伝子であるshabondama40はERからの小胞出芽に働くSec31のホモログ(ATSEC31A)である。細胞質分裂異常はアミノ酸置換アレルshabondama40でのみ観察され、同遺伝子の破壊株では出現しない。この理由としてもう一つのホモログであるATSEC31との優劣関係がATSEC31B<SHABONDAMA40<ATSEC31Aとなっていることが推測された。そこで結合親和性の比較を行うためにマルチカラーBiFcによる解析を行い、ATSEC31BよりもATSEC31Aの方がATSEC13に対して高い結合親和性を持つ結果が得られた。ATSEC31A破壊株ではATSEC31Bが代替するため細胞質分裂異常が発生せず、shabondama40変異体ではアミノ酸置換型ATSEC31Aが小胞輸送系で働いてしまうために細胞質分裂異常が引き起こされると推測された。 ATSEC31A破壊株では新規な表現型として花粉と葯の発育不全が観察された。切片の光学観察や透過型電子顕微鏡観察により、花粉表層のエキシン構造が異常であること、葯壁の周囲の細胞であるタペタム中のタペトソームの形態が異常であることがわかった。タペトソームは小胞体由来のオイルボディーが発達したオルガネラであるため、ATSEC31A遺伝子破壊によってERからの正常な発達が阻害されていると考えられた。エキシン構造は、減数分裂前の小胞子母細胞のステージで形成され始めるカロース層によって制御される。そのため、ATSEC31A遺伝子破壊によってカロースや合成酵素の輸送が影響されていることが考えられた。 これら実験結果より、植物の発達に関わる小胞形成因子ATSEC31機能の理解が深まった。
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