2007 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルジェネティクスによる葉緑体内植物免疫シグナルクロストークの解明
Project/Area Number |
19039034
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
白須 賢 The Institute of Physical and Chemical Research, 植物免疫研究チーム, チームリーダー (20425630)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能年 義輝 独立行政法人理化学研究所, 植物免疫研究チーム, 研究員 (70332278)
|
Keywords | 植物 / シロイヌナズナ / シグナル伝達 / サリチル酸 / ジャスモン酸 / 植物免疫 / シグナルクロストーク / ケミカルバイオロジー |
Research Abstract |
<サリチル酸(SA)のジャスモン酸(JA)シグナル阻害作用の解明> SA及び非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)はヒトのプロスタグランジン生合成に関わるシクロオキシゲナーゼ(COX)を標的とすることから、植物ではCOX類似のJA合成酵素であるLOXを標的としてJAシグナルを阻害すると信じられてきた。SA及びNSAIDsはLOX活性を阻害しないという報告もあったが、これは二種類のLOX(9-LOX及び13-LOX)の混合物を使用したことに依るのではないかという予想の基にこれを確認する実験を行った。シロイヌナズナからLOX2(JA合成に働く13-LOX型)をクローニングして、SA及びNSAIDsがその酵素活性を阻害するかどうかを検討したが結果として阻害活性は検出されなかった。さらに、SA及びNSAIDsを添加したシロイヌナズナ幼苗のJA量を測定したがJA量に変化は見られずJA合成酵素阻害仮説は否定された。以上の結果から、SA(NSAIDs)によるJAシグナル阻害作用はJA合成ではなく受容体から遺伝子発現までのステップにあると結論づけた。 LOX2遺伝子の発現はメチルジャスモン酸(MeJA)添加により誘導されるが、これはSA及びNSAIDsにより阻害され、既報と一致した。また、これらの阻害効果はMeJA、JA、JA-IleのいずれのLOX2発現誘導でも観察された。この「SAがJAによるLOX2発現を抑制する仕組み」を明らかにするために遺伝学的手法を採用した。現在、LOX2promoter::GUS及びLOX2promoter::LUCを持つシロイヌナズナのEMS変異プールを作製しており、JAによるLOX2発現誘導がSAで抑制できなくなった変異体、もしくはJA非依存的にLOX2が誘導されている変異体をスクリーニングする予定である。
|