2007 Fiscal Year Annual Research Report
性行動と母性行動の発達における神経伝達物質、GABAの役割、パート2
Project/Area Number |
19040002
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柳川 右千夫 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 教授 (90202366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿崎 利和 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50375531)
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Keywords | 性行動 / 母性行動 / GABA / トランスポーター / 誘導型ノックアウトマウス / テトラサイクリン |
Research Abstract |
神経伝達物質GABAは、脳の性分化において重要な役割を果たしている。ラット新生児や乳児にGABA受容体に作用する薬物の投与が、成育後における雄の性行動や雌の母性行動に影響を与えることが報告されている。これは、発達時期のGABAが、成長後の性行動や母性行動に深く関与していることを示唆している。一方、GABAは、グルタミン酸脱炭酸酵素によって合成され、小胞型GABAトランスポーター(VGAT)によってシナプス小胞に蓄積された後にカルシウム依存性にシナプス間隙に放出される。本研究では、雄の性行動と雌の母性行動発達におけるGABAの役割を明らかにする目的で、tetracycline-controlled transactivator(tTA)システムを利用した誘導型VGATノックアウトマウスの作成を目指した。 誘導型VGATノックアウトマウスの作成には、VGAT遺伝子にtTA2をノックインした遺伝子改変マウス(VGAT-tTA2マウス)とtTA2が結合するテトラサイクリン応答因子(TRE)を含むプロモーター(tetプロモーター)の下流にVGAT cDNAを配置したコンストラクトを導入したトランスジェニックマウス(tet-VGATマウス)が必要である。そこで、ES細胞を用いて遺伝子標的法で作成したVGAT遺伝子エクソン1にtTA2をノックインしたキメラマウスと野生型マウスとを交配した。生まれた仔の尻尾のゲノムDNAを用いてサザン法を施行し、VGAT-tTA2マウスを同定した。一方、tet-VGATマウスでは、マウス受精卵にDNAコンストラクトを注入して作成するため、導入されたDNAの染色体上の位置により、目的の遺伝子発現に影響を与える可能性がある(position effect)。その影響をを少なくする目的で、インスレーター配列を付加したコンストラクトを作成した。今後はこのコンストラクトを用いて、トランスジェニックマウスを作成し、同トランスジェニックマウスとVGAT-tTA2マウスとを交配して、誘導型VGATノックアウトマウスを作成する。
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