2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19040004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 真杉 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90145673)
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Keywords | 脳・神経 / 発生・分化 / 性ステロイド / 遺伝子 / 行動学 |
Research Abstract |
哺乳類における脳の性差は、発生過程の特定の時期(臨界期)に脳がアンドロジェンに曝露されるか否かによって生じる。アンドロジェンは脳内の細胞において芳香化酵素によりエストロジェンに代謝され、エストロジェン受容体と結合して特定の遺伝子群の転写を活性化することにより脳の性分化を誘導する。我々は、ラットにおいて脳の性分化の臨界期に視床下部での発現に雌雄差のある遺伝子としてグラニュリン、p130、p27Kip1、JAG1などの遺伝子を検出している。本研究においては、グラニュリン遺伝子をジーン・ターゲティング法により破壊したグラニュリン・ノックアウト(KO)マウスを用いて、性的二型を示す各種表現型について解析を行った。不安傾向に関する性分化の機序を検討することにより、周生期の脳におけるグラニュリンの役割を検討した結果、野生型(WT)マウスにおいて雄は雌と比較すると不安傾向が低いという性差の存在が示された。一方、KOマウスにおける雄の不安傾向はWTべ雄より高く、雌とほぼ同じレベルであった。次に、このような不安傾向の性差に関与していると考えられる性的二型を示す神経核の発達について検討した。青斑核は不安様行動への関与が示唆されており、ラットにおいては雄よりも雌においてその体積が大きいことが知られている。青斑核の体積はWTマウスでは雄に比谷て雌の方が大きい傾向が見られ、KOマウスでは雌雄のWTマウスよりも有意に大きくかつ性差も認められなかった。以上の結果から、グラニュリンは青斑核の発達を抑制することで形態学的な性差を形成し、この形態学的な性差が不安傾向の性差発現の基盤となっていることが示唆された。
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Research Products
(12 results)