2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19040007
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
浜崎 浩子 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所, 准教授 (00211483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 政起 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (70212058)
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Keywords | 性分化 / キメラ / 脳移植 / ニワトリ / 性行動 / ステロイドホルモン / 生殖腺 |
Research Abstract |
本研究は、脊椎動物における性分化のうち、特に「脳の性」によって決められる性分化について解析を行うことを目的としている。生殖腺の分化がおこる前のニワトリ初期胚を用いて雌雄間で脳原基移植をすることにより、脳以外の組織と脳の雌雄の組み合わせが異なるキメラを作製した。 今年度は、免疫抑制剤の投与を行うことで、これまで解析の支障になっていた拒絶反応を完全に抑制することに成功した。その結果、雌の脳をもつ雄でもオープンフィールドでの行動は雄型を示すこと、雌に対してはワルツィングやマウント試行といった正常な性行動が見られる一方、雌特有の性行動は示さないことが明らかとなった。一方、雄の脳をもつ雌では、産卵開始が遅延し、産卵数も少なかった。このキメラはオープンフィールドと性行動の観察では、当初正常雌と変わらない行動が見られたが、孵化後2年ほどからオープンフィールドの行動が雄に類似し、さらに攻撃性の昂進が見られた。キメラの血中ホルモン濃度は、どちらのキメラでも体の性に一致した正常雌雄と同様のテストステロンとエストロジェン濃度を示した。 ステロイド受容体、神経伝達物質、転写因子などのうち齧歯類で性的二型核のマーカーとなることが知られているものを中心に、種々の遺伝子プローブを用いて雌雄のニワトリ成体脳で発現の違いを示すものを探索した。その結果、アルギニンバソトシン陽性細胞とソマトスタチン陽性細胞が分界条床核において明らかな性的二型を示していた。さらに視索前野では、アロマターゼ陽性細胞群の分布に差があることが示唆された。 以上の結果は、性分化に対して脳の果たす新しい役割を示唆する重要なものであった。
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Research Products
(1 results)