2008 Fiscal Year Annual Research Report
種間雑種・突然変異による性転換を用いたメダカ性決定/性分化制御機構の解明
Project/Area Number |
19040009
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
濱口 哲 Niigata University, 自然科学系, 教授 (20126444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒泉 満 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40175360)
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Keywords | メダカ / 性決定 / 性分化 / 性転換 / 突然変異 / 原因遺伝子 / Sox9b |
Research Abstract |
野生集団中の性転換個体、XX雄、XY雌出現に関する遺伝子の同定とその機能解析、およびメダカとハイナンメダカの種間雑種における性転換の解析を通じて、メダカの性決定、性分化の分子機構の解明を目指した研究を進めている。本年度の主要な成果は以下の通りである。 1.日本の野生メダカ集団中には遺伝的原因によるXX雄、XY雌が約1%程度生息していた。 2.XY雄は性決定遺伝子DMYの機能欠損型あるいは機能低下型の突然変異であった。 3.性決定遺伝子が同じであるメダカとハイナンメダカの種間雑種個体の性転換の原因は、野生メダカの機能低下型突然変異と同様のしくみによることが示唆された。 4.突然変異および近縁種の機能低下型DMYによる性転換に関わる遺伝因子がメダカLG2, LG4, LG17に存在していることが明らかになった。 5.新潟市白根由来のXX雄出現の原因はSox9bの発現低下によることが判明した。Sox9b白根型対立遺伝子を持つ個体の性については遺伝的背景に影響がある、つまり、他に関与する遺伝子が複数存在することが示唆された。また、変異型遺伝子をHd-rR系統に導入した系統では、ヘテロに持つものからは機能的な雌雄が出現するが、ホモ個体では生殖細胞欠損になり、表現形は雄になった。つまり、Sox9b遺伝子は雌雄にかかわらず生殖細胞の維持に関わっており、その機能次第で性転換が誘導されうることが判明した。 以上から、メダカの性決定に関与する遺伝子がY染色体以外の常染色体上に複数存在することが明らかになった。また、機能低下型突然変異の解析から、メダカ近縁種の性決定遺伝子の多様性の出現機構が、種内の性決定関連遺伝子の多型性により説明可能であることが示された。
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Research Products
(7 results)