2007 Fiscal Year Annual Research Report
生殖戦略の性分化を支えるほ乳類精細管の周期的機能変化のメカニズム
Project/Area Number |
19040011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 松生 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (60294138)
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Keywords | マウス / 精子形成 / 幹細胞 / ニッチ / 性分化 / 発生 |
Research Abstract |
ほ乳類精巣は精細管構造を持ち、それが精子形成を時間的空間的に制御することによって、常に新鮮な精子を作り続けることができる。これが、雌雄の役割分担が特殊化し、かつ種によって多様化した生殖・育児戦略を支えている。本研究では精細管内で、精子形成幹細胞の増殖と分化が時間的空間的に制御される仕組みを明らかにすることを目的としている。 本年度はマウス精子形成の幹/前駆細胞「未分化型精原細胞」の精細管内でふるまいを、タイムラプス連続撮影や3次元立体再構成を用いて検討した(Science 2007)。その結果、未分化型精原細胞は、血管や男性ホルモン産生細胞に近い領域に局在し、分化に伴ってここを離れ、精細管全域に散らばってくことを初めて明らかにした。この領域はニッチと考えられ、永く実体が謎に包まれているほ乳類の精子形成幹細胞ニッチの実体に迫る重要な知見である。さらに、血管パターンの変化にあわせてニッチも再編成される事も示唆された。精細管のニッチは、ショウジョウバエなどで知られる、発生過程で厳密に作られ固定されたニッチとは異なる戦略で作られているようだ。
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