2008 Fiscal Year Annual Research Report
生殖戦略の性分化を支えるほ乳類精細管の周期的機能変化のメカニズム
Project/Area Number |
19040011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 松生 Kyoto University, 医学研究科, 非常勤講師 (60294138)
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Keywords | マウス / 精子形成 / 幹細胞 / 分化 / 精巣 |
Research Abstract |
ヒトを含むほ乳類は、雌雄で大きく分化した生殖戦略をとることが、進化の勝者となった一因である。すなわち、メスが一生を通じて生産する卵子はごく少数(ヒトの場合約400)であり、妊娠や育児により個々の産仔に多くの資源を投入する。その結果、メスが受精可能な時期は限られる。一方、オスの精巣では長期間多数の精子を生み出し続ける。オスが長期間大量に精子をつくることにより、メスが交配可能な時期が短いことをおぎない、効率よく次世代を残すのである。 本研究課題では、この、ほ乳類の生殖細胞の分化を支える、オスの継続する精子形成を実現するメカニズムを解明することである。具体的には、精子形成を支える幹細胞、精巣組織の中に持続すると同時に、精子へと分化する細胞を生み出し続ける機構である。さらに具体的には、マウスでは、幹細胞を含む少数の「未分化型精原細胞」は8.6日の周期で定期的に分化細胞(「分化型精原細胞」)を生み出すのであるが、その周期的分化を実現する機構を明らかにすることが、本研究の目的である。 本研究は、科学研究費補助金の重複受給の規定に従い、年度半ばで廃止することとなった。その間、以下のような研究成果を得た。すなわち、「未分化型精原細胞」は、体細胞の支持細胞であるセルトリ細胞の周期的機能変化と同調して分化型精原細胞を生み出すのであるが、更に分化した精子形成細胞がセルトリ細胞と未分化型精原細胞の両者に働きかけることによりセルトリ細胞の機能的周期と未分化型精原細胞の周期が同調することが示唆された6この成果は、今までほとんど問われてこなかった、幹細胞の分化の時間的制御に新しい示唆を与える重要な知見である。
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