2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19040021
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北野 健 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (40336219)
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Keywords | 性決定 / ヒラメ / メダカ / 性分化 / アロマターゼ |
Research Abstract |
温度依存性性決定は、脊椎動物の多くの種類で確認されているが、その分子機構は未だに不明である。そこで本研究では、温度依存性性決定機構を解析するために優れた特徴を持っているヒラメを用いて、温度依存性性決定の分子メカニズムの全貌を明らかにするために研究を行った。 昨年度、性分化時期の生殖線の器官培養系において、18度で培養しても、27度で培養しても、アロマターゼ及びFoxl2mRNAの発現が完全には抑制されず、MIS mRNAの発現が全く誘導されないことが分かった。このことは、高水温は生殖腺には直接作用せずに、生殖腺以外から分泌する因子を介して雄への性分化を誘導しているのではないかと考えられた。そこで今年度は、高水温ストレスにより合成量が上昇する因子の一つであるコルチゾルに着目し、ヒラメ性分化におけるこの影響を解析した。EIA法によりコルチゾル量を測定した結果、性分化時期において、高水温処理したXX個体は通常処理個体に比べて、コルチゾル量が有意に高いことが分かった。次に、コルチゾルを投与したXX個体の性比を調べた結果、高濃度処理群において50%の雄化率を示した。さらに、生殖腺の器官培養系にコルチゾルを添加した結果、アロマターゼ及びFoxl2mRNAの発現が抑制され、MIS mRNAの発現が誘導された。これらのことから、コルチゾルは高水温によるヒラメの雄化に深く関与している可能性が示唆された。
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