2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19040021
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北野 健 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (40336219)
|
Keywords | 性決定 / ヒラメ / メダカ / 性分化 / アロマターゼ |
Research Abstract |
温度依存性性決定は、魚類、両生類、爬虫類など変温動物の種類で確認されている生物現象であるが、その分子機構は不明である。そこで本研究では、温度依存性性決定機構を解析するために優れた特徴を持っているヒラメを用いて、温度依存性性決定の分子メカニズムの全貌を明らかにするために研究を行った。 1. コルチゾルが及ぼすアロマターゼ遺伝子め発現制御への影響 昨年度、コルチゾルが温度依存性性決定に関与し、遺伝的雌から雄への性転換を誘導することを明らかにした。そこで今年度は、コルチゾルがアロマターゼ遺伝子(エストロゲン合成酵素、雌への性分化に不可欠)の転写活性にどのような影響があるかをレポーターアッセイにより解析した。その結果、アロマターゼ遺伝子5'上流域のcAMP応答配列(CRE)を含むコンストラクトを用いた場合、コルチゾル受容体(GR)を介してレポーター活性が有意に抑制されることが分かった。 2. in vitroにおけるGRとアロマターゼ遺伝子5'上流域のCREとの結合性 実際に、GRとアロマターゼ遺伝子5'上流域のCREが結合するのかをin vitroで解析するため、ゲルシフトアッセイを行った。その結果、GRとCREとは直接、結合することが確認された。 3. in vivoにおけるGRとアロマターゼ遺伝子5'上流域のCREとの結合性 ヒラメ性分化時期に、GRとアロマターゼ遺伝子5'上流域のCREが結合しているのかを解析するため、ChIPアッセイを行った。その結果、雄化温度で飼育した個体の生殖腺では結合が観察され、雌化温度では認められなかった。これらの事から、雄化温度では、コルチゾルが直接、アロマターゼ遺伝子の転写活性を抑制している可能性が示唆された。
|
Research Products
(6 results)