2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19040032
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
小林 悟 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90225508)
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Keywords | 性分化 / ショウジョウバエ / 始原生殖細胞 / 生殖細胞 |
Research Abstract |
始原生殖細胞の性差は,生殖巣に取り込まれたのち体細胞からのシグナルにより決定されると考えられてきた。しかし,私たちは,ショウジョウバエにおいてSUMO化に関わるタンパク質の活性を始原生殖細胞(極細胞)中で抑制すると,生殖巣へ到達するよりも早期に,雌個体でのみ極細胞が細胞死をおこすことを見いだした。この発見は,より早い発生段階で極細胞自律的に性差が産み出されることを予想させる。そこで,本研究では,SUMO化に関わるタンパク質の機能解析を通して,極細胞の性差が確立する機構を明らかにすることを目的とした研究を展開した。本年度は,SUM0化を抑制することにより誘導される雌特異的な細胞死を指標として,生殖巣への移動過程にある極細胞の雌雄差が,周囲の体細胞の性に依存せずに,極細胞自律的に決まることを明らかにした。また,この性差は、極細胞が胚の内部に移動したのち速やかに発現するSex lethal(Sx1)遺伝子の制御下にあることも見いだした。Sx1遺伝子は,雌の極細胞中においてのみ,一過的に発現し,SUMO化を抑制したときに観察される細胞死を正に制御する。以上の成果は,始原生殖細胞自律的な性差形成を示唆した初めての例である。
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