2008 Fiscal Year Annual Research Report
腸内細菌の病原性・非病原性と抗菌ペプチドの作用機構の解明
Project/Area Number |
19041005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
綾部 時芳 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 教授 (90301019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 直樹 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (20422008)
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Keywords | 抗菌ペプチド / 腸内細菌 / 自然免疫 / パネト細胞 / 殺菌活性 |
Research Abstract |
パネト細胞αディフェンシンペプチドを遺伝子組換え法および合成法により得て、生化学的、構造生物学的および免疫学的基盤を検証した。これらのαディフェンシンを用いて.各種細菌に対する殺菌活性解析を行った。 Native Cryptdin4を還元することにより、ジスルフィド結合が殺菌活性に及ぼす影響を検討した。ジスルフィド結合を3組持つCryptdin4(native Crp4) およびnative Cryptdin4をDTTにより還元した Cryptdln4(r-Crp4)を調製し、それらのS. typkimurium WT、S. typhimurium phoP-、E. coli ML35およびS. aureusに対する殺菌活性をそれぞれ測定した。その結果、r-Clp4はE.coliに対してのみnative Crp4より有意に強い殺菌活性をペプチド濃度1μg/mlにおいて示したが、その他の細菌に対してはnative Crp4と同等の強力な殺菌活性を認めた。また、両ペプチドの各々の細菌に対する50%阻害濃度(IC50)は有意差を示さなかった。これらの結果より、Crp4のジスルフィド結合は検討した常在菌および非常在菌に対する殺菌活性に直接関与していないことを明らかにした。 さらに、Lactobacillus、Bifidobacterium等の常在菌を用いて腸管における排除と共生の分子機構について、細菌側因子と宿主自然免疫作用因子であるαディフェンシンの作用を解析する新たなアッセイ系を確立し、ex vivo腸内環境における共生と排除機構を解析した。本研究により、腸内に常在する非病原性細菌および非常在菌に対して、αディフェンシンのジスルフィド結合が多くの細菌では殺菌活性に関与しないことを明らかにするとともに、腸内の共生と排除に関わる細菌側および宿主側因子の重要性を示唆した。
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